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もういちど読む山川日本史 [編]五味文彦、鳥海靖

[掲載]週刊朝日2010年2月12日号

  • [評者]長薗安浩

■なつかしさだけではないニーズ

 昨年の八月末に刊行された直後からじわじわと売れ続け、年明け十三日付のベストセラーランキング(単行本・ノンフィクション部門 トーハン調べ)ではついに六位となったこの本、『もういちど読む山川日本史』。実は、私も発売されてすぐに購入したのだが、その際の動機を思い返すと、ほぼ次のように整理できる。

 (1)日本の通史を一冊でおさらいしたい (2)南北朝時代をはっきりと理解したい (3)きっと政権交代が起きるから、ここでざっと戦後史を振り返りたい (4)高校時代に使っていた山川の教科書がなつかしい……。

 (2)は極めて個人的な理由だから一般化はできないが、テレビのクイズ番組に代表されるように断片的な情報ばかりが溢れる中、(1)のニーズは高いと想像する。また、暗雲たちこめる将来への不安から、(3)も含めて過去に目を向けてみるという時代の気分もあるのだろう。いわば温故知新の実践なのかもしれないが、そもそも教科書は通史の入門編としてよくできているから手にとりやすい。それが山川のものであれば尚更で、(4)の気分に背中を押されてついこの本を求めてしまう。

 他にも、テレビドラマの大作、『坂の上の雲』や『不毛地帯』や『龍馬伝』の影響も考えられる。「歴女(レキジョ)」と呼ばれる歴史好きの若い女性たちが売り上げ拡大につながっているのかもしれない。いや、やはり高齢者の増加が最大の要因と見るべきか。

 ヒットの理由はまだまだ考えられるが、とにかく、この本をきっかけに日本史にさらに関心を持ち、強く興味を抱いた時代やテーマへと深耕していく人が増えればいいと、まるで山川出版社の社員のようなことを私は願っている。

 ちなみに。

 私の場合は『山川 詳説日本史図録』も併せて読み、なぜか南北朝時代ではなく神代に惹かれて記紀をすべて読み直し、ついには各地の一の宮へ参拝するようになってしまった。

表紙画像

坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)

著者:司馬 遼太郎

出版社:文藝春秋   価格:¥ 670

表紙画像

龍馬伝 前編 (NHK大河ドラマ・ストーリー)

著者:福田 靖 作・NHKドラマ制作班 製作協力

出版社:日本放送出版協会   価格:¥ 1,050

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