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品田冬樹さん
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もしも怪獣が日本人の情念だとしたら、怪獣映画は情念を慰める神楽だ。そして造型師は、神楽の「面」を作り、魂を吹き込む人である。
品田冬樹(しなだふゆき)さんは、「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」(01年)の3大怪獣をつくるなど、日本を代表する怪獣造型師のひとり。本書は、評論家や映画制作者とも違う角度から、怪獣、なかんずくゴジラについて縦横に筆を進めた一冊だ。
江戸時代の怪獣といったルーツから説き起こし、怪獣映画の歩みを概観しつつ魅力の本質に迫る。直立が基本である怪獣のヌイグルミ(着ぐるみ)で問題になる下あごのデザイン(首が突き出た恐竜と違い、あごの可動域が狭くなるのをどうするか)など、図版を交えて語られる考察には、マニアならずとも引き込まれる。
「コアなファン向けや、データ中心の本になりすぎないよう気をつけました」
実は品田さん、特撮雑誌の編集の手伝いなど、書き手としての経歴を持っている。傍らで、アマチュアとして作ったゴジラのヌイグルミが東宝の目にとまり、プロモーション用に使われたのが造型師としての出発点。「物心ついた時から怪獣がいた」ファン世代らしいスタートだった。
「怪獣は、いわば火事場見物のような、台風が来た時の高揚のような、リビドーみたいな快感が根本にある世界です」
そう語る品田さんが好きな映画のひとつが、「ゴジラ対ヘドラ」。公害をモチーフにした怪獣ヘドラは、初代ゴジラが示した戦争と核兵器の恐怖と並んで、「リアルな脅威」を担っていた。
「この世から、人間がコントロールできない脅威がすべて消えることはありえないでしょう。私はこれからも『脅威のゴジラ』を語っていきたい」