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内野正幸さん
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タイトルの「民主制の欠点」は、多数派が少数者の人権を侵害する可能性があることや、適切な決定を能率良く行うのを妨げることなどを指す。そうはいっても、他の制度と比べて「欠点のより少ない」民主制の土台を作っていくのが本書のねらいだ。
「小泉首相の仕掛けた“郵政選挙”」といった、最近の話題も取り上げている。
争点を単一化した国民投票的な選挙をどう見るか。「勝者は、争点化されなかったテーマまで信任を得たと考えてはならない」と留保条件を付けつつ、選挙で示された国民の多数意見を引き合いに出して首相が政治運営にあたった点は評価する。
だが同時に、「イラク戦争の開戦時には日本国民の多数派は戦争反対だったのに、首相はそれを引き合いに出さなかった」と指摘することを忘れない。
このように“決定の中身”ではなく“決定の手続き”に焦点を絞ったのが特徴だ。「短いスローガンが一人歩きすることに危機感がある。議論を整理する必要があります」というのが、執筆の動機である。
筑波大教授を経て現在、中央大法科大学院教授。内野正幸(うちのまさゆき)さんは、少数派を重視する憲法研究を続けてきた。本書では少数派をめぐって、社民党のような「政治的少数派」と、アイヌのような「社会的少数者」の違いについてもふれている。
また「選挙運動の握手戦術を禁止せよ」「二世議員の立候補を制限せよ」「選挙に参加しない人に不利益を」といった問題提起もした。いずれも、日本を「議論社会」に、という思いから発したものだ。
「日本人は、議論といえば口げんかに近いイメージを持っているが、仲良く論争することを推進したい」。互いに批判しあうこと。他人からの批判を有益なものとして受け止めること。ヒントはいくつも書き込まれている。