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著者に会いたい

字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ 太田直子さん

[掲載]2007年03月04日
[文]宮崎健二 [写真]鈴木好之

■1秒4文字の原則に腐心

 天理大学のロシア学科を卒業、ロシア文学研究者の道へ進む……はずがアルバイト先で外国映画に字幕をつけたのを機にこの世界へ。字幕翻訳約20年の太田直子(おおたなおこ)さんの歩みだ。

写真太田直子さん

 「批判されることは多いですが、ほめられることはまずない」という世界。典型的な批判に「吹き替え版と違う」というものがあるが、それもそのはず。字幕を読む速度には限度がある。そこで「1秒4文字」という原則があり、口の動きと連動していないと不自然なので画面に映るのは「しゃべっている間だけ」となる。こんな制約の中で訳語をあてていくのが、「字幕屋」なのだ。

 すると、職業病も出てくる。「テレビや日常会話から聞こえてくる言葉がとても気になって」。「お取り寄せ」「お仕事」などやたらと付く「お」の字、企業名にまで付く「さん」、「させていただく」などバカ丁寧化が進む敬語……。「長たらしい言葉が定着して字幕で使わざるをえなくなると困るんですよ」

 ナレーションやせりふが増えて映像や沈黙から心情などを読み取る余地をなくす傾向も気になっている。「わかりやすさが求められているんでしょう。でも、わからなくてもまず自分で調べたり、考えたりする過程がある方がいい、と思いますね」

 仕事をこなしながら、本の原稿は深夜に書いた。酒を飲みながら。日本語や仕事相手へのツッコミが満載なのはそのせいもあるらしい。「筆が走りすぎました」と笑う。

 ところで太田さん、この本の題名、字幕の基準でいうと長すぎませんか、とツッコミを入れると、「付けたのは出版社の編集部なので、そちらに言ってください」ときっぱり返された。「ハハハ、でも確かに長すぎますよね。19文字だから、字幕なら5秒は映してもらわないと」

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