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著者に会いたい

生き抜くための数学入門 こんどこそ!わかる数学 新井紀子さん

[掲載]2007年03月11日
[文・写真]前田浩次

■「とは」「なぜ」の力が必要

 算数・数学が大嫌いだった。大学入試が終わった日、裏庭に教科書や参考書を持ち出して灯油をかけて燃やしたほどだ。そんな人がイリノイ大学の博士課程に学んだ数理論理学者で、国立情報学研究所と東京工業大学の教授、新井紀子(あらいのりこ)さんだ。

写真新井紀子さん

 「でも、子どものとき学んだということが、よかったのです。数学者になったからではなく、数学のユーザーになれたから。数学を通してしか身に着かないものを得たのです」

 それは、論理であり、筋道を立てて考えること。ところがこの国を見つめたとき、「日本人は『〜とは何である』とか、『なぜ、そうなのか』ということを考える力を、学校でも社会でも、ちゃんと鍛えていない」ことが見えてきた。政治家になめられている国民、国際交渉能力で見劣りする国の姿が。

 「なぜ算数と数学を1200時間、好きな子にも嫌いな子にも教えることになっているのか。数式も美しいでしょという理由ならば、美術と同じくらいの時間でいい。そうではなくて、論理の力は全員が学ぶべき、他教科にも、人生にも必要なもの。学校教育の段階で身に着けさせなければ、国として怠慢なのです」

 しかしそうした教育は、行われてこなかった。本の冒頭のいくつかの問いを前に、多くの読者が、確かに、「とは」「なぜ」の力が弱いことを思い知るだろう。

 同時に出した2冊は、数学の仮想授業を通じて、この論理的な力を獲得する手助けをする本だ。くだけた語り口、工夫を凝らした内容は、さらさらと読めてしまうが、しかしそれでは身に着かない。計算用紙と鉛筆を手に、「1回ずつ、『授業』に参加する気持ちで、じっくりと考えていってください」。

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