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著者に会いたい

明治日本のごみ対策 溝入茂さん

[掲載]2007年03月18日
[文・写真]木元俊宏

■環境行政のあけぼの探る

 近代化を進める明治政府は、各地でばらばらだった清掃行政に全国的な法の網をかぶせようとした。それは明治33(1900)年に施行された「汚物掃除法」として結実する。日本最初の廃棄物関連法である。

写真溝入茂さん

 しかし、この法律は難産だった。公布は当初予定より3年近く遅れた。本書はその理由を掘り下げながら、当時の東京・大阪でのごみ処理事情、森鴎外ら法律の検討にかかわった人物、ごみをめぐって起きた汚職事件など、環境行政のあけぼのの時代の姿を多様なデータ、図版、エピソードを通じて描き出す。

 「成立が遅れた最大の理由は、実はし尿の扱いだったんです」と著者の溝入(みぞいり)茂(しげる)さん。衛生政策的には、指定自治体がし尿を一括処理するのが理想だ。一方で、当時、し尿は肥料として売られていた。行政が手を出せば民間の富を召し上げることになってしまう。結局、し尿は当面、民間に任せるという決着が図られた。「優れた制度も技術も、社会の実態を考えて進めないといけない、という教訓がここにあります」

 京都大で有機化学を学び、メーカーを経て都庁入り。公害規制などの仕事を経て、都環境科学研究所参事研究員として後進の指導にあたる。

 現場時代、焼却炉の構造の歴史的経緯を調べたのがきっかけで、仕事のかたわら古い技術文献の調査に取り組む。その成果は『ごみの百年史』『近代ごみ処理の風景』という2冊の著作にまとめられたが、今回は技術だけでなく行政史にまで視野を広げた。本書の元になった論文で、早稲田大から政治学博士号を授与された。

 「ごみ問題には総合的な視点が必要です。過去から学ぶ基礎資料にしてもらえればうれしいですね」

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