ここから本文エリア

RSS

現在位置:asahi.com>BOOK>著者に会いたい> 記事

著者に会いたい

シックスポケッツ・チルドレン 中場利一さん

[掲載]2007年03月25日
[文・写真]加藤修

■やっと家族がわかってきた

 大阪・岸和田の名物がだんじりではなく、ケンカだと思われているとしたら、中場利一(なかばりいち)さんのせいだろう。

写真中場利一さん

 繰り返し映画化される「岸和田少年愚連隊」シリーズなど、「かかってこい! コラァ!!」とケンカに明け暮れる中高生の姿を半自伝的に描いてきた。それが今回は一転、ケンカを背景に下げ、それぞれにいびつさを抱えた家族のなかで育つ子どもたちの姿を温かく描いた。

 「いままでやったら、(自分を映した)ヤンチと隣町のチャーボがケンカして、あとはパパパパパーンで終わってまうやろ。今回は、勝手に物語が動いていくのを止めて、ヤンチに『おまえだけとちゃうねん』と言って、自分の中にいてもめったに出てけえへんやつらを書いてみた」

 この小説を書き出す直前、20年以上会わずにいた父親が亡くなった。「肺がんでやせこけたオヤジに会ったら、自然と『もうええぞ、気にするな』と声をかけてた。オヤジもぼろぼろ泣いて……。それまで憎む気持ちばっかりやったのが、オヤジはオレのことごっつい好きやったんやと、この年になってわかった」

 これまでだったら、いじめられるだけの役柄でしかなかった金持ちでおしゃれな「ヨコワケ」のような登場人物も、複雑な家庭の事情から丁寧に描きだした。「薄っぺらでなく家族のことがわかるようになってきた。今は、人それぞれの良さを認めることができるし、道を歩いてて殴られても、ケンカにはならない。すんませんて、謝れるよ、ほんまに」

 あれ、さっき、タクシーで運転手のいす、けってましたけど……。

 「そら、しゃあないやろ、道に迷ったあげく、メーターは止めましたからとか生意気言うから、ゼニカネの問題ちゃうわ、あほんだらっ、と。昔やったら引きずり出して……」

ここから広告です

広告終わり

著者に会いたい バックナンバー

バックナンバー

このページのトップに戻る