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視聴率の正しい使い方 藤平芳紀さん

[掲載]2007年05月06日
[文・写真]木元俊宏

■数字の独り歩きを戒める

 テレビ番組の人気ぶりを知るのに欠かせない視聴率。「今回の紅白歌合戦は○○%」なんてデータに、私たちも興味津々だ。民放にとってはスポンサーからの収入に直結した数字である一方、「やらせ」「捏造(ねつぞう)」といった問題が起こるたびに「視聴率至上主義」がヤリ玉に挙がる。

写真藤平芳紀さん(66)

 「でもその本当の姿が、どこまで知られているでしょうか」と、藤平芳紀(ふじひらよしのり)さん。ビデオリサーチ社で40年近く視聴率調査に取り組んできた。退職後の現在は、大学で調査の理念と実際や、米国放送史などを教える。そんな藤平さんがプロの視点で、調査の具体的な方法を解説しながら、視聴率をめぐる「誤解や思い違い」を解きほぐそうとまとめたのが本書。

 例えば、ある番組の視聴率が12%で、裏番組は10%だった。12%の方が人気と思いたくなるが、「それは実は誤り」。現在の調査サンプル数などをもとに計算をすると、2%の違いは誤差の中に収まってしまい、どちらがよく見られているかを確実に言うことはできないのだ。「ましてコンマ以下の数字をうんぬんしても、意味はほとんどないんです」

 一方で、「テレビの見られ方を客観的に測る指標として、視聴率が貴重なデータであることに変わりはありません」。番組を良くするために必要な数字、と思って取り組んできたからこそ、その“独り歩き”には手厳しい。限界と特徴をわきまえて、平均や傾向を見るといった「正しい使い方」が必要だと説く。

 録画の普及や多チャンネル化で、視聴率調査も大きな変革を迫られている。本書には、個人ごとの視聴率を調べる新しい手法の紹介や、特定の年齢・性別層に特化した調査の提言もある。「この本は、視聴率がこれからも使えるデータであれ、と願うエールであり、ラブレターなんです」

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