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著者に会いたい

名画の言い分 木村泰司さん

[掲載]2007年09月02日
[文]丸山玄則 [写真]東川哲也

■西洋美術の「読み方」解く

 「美術は感性で見るものではなく読むものです」。西洋美術史家の木村泰司(きむらたいじ)さんのメッセージに、はっとさせられる人も多いのではないか。

写真木村泰司さん(41)

 「字幕なしに外国映画をみても分からないのと同じで、西洋美術は欧米人でも当時の時代背景や宗教観などの知識なしに理解できません。好き嫌いだけでみてはもったいない」

 古代ギリシャから19世紀の印象派まで。「ミロのヴィーナス」「モナ・リザ」「印象、日の出」などの代表的な作品を題材に、「読み方」に不慣れな日本人に向け、名画や彫刻に込められた膨大なメッセージを分かりやすく読み解いた。

 例えばギリシャ彫刻を「モデル」、ローマ彫刻を「タレント」と例える。理想像を追求したギリシャは、本人に似せるよりもその時代で最も美しい像。ローマ時代は遺影としての役割が重んじられたため、写実的で個性的だからだ。「ピアノでいえばバイエル。鑑賞に欠かせない『美の基本』を、楽しんで読んでもらえるよう工夫しました」

 中学卒業後、単身渡米。カリフォルニア大バークリー校で美術史を専攻した。美術そのものより歴史への関心が動機で、「作品がなぜ素晴らしいのかを知りたかった」。歴史、政治、宗教など膨大な文献を読んで学士号を取得。ロンドンのサザビーズ美術教養講座で学んで社交界との交流を深め、25歳で帰国した。

 美術商として作品を薦めるようになって気付いたことがある。「若い女性を中心に作品の説明を受けたい人が実は多い。『感性』が強調され、情報が不足していたんですね」

 要望に応える形で美術史を解説する講演、セミナーを増やし、今はこちらが活動の中心。「西洋美術史界のエンターテイナー」として「人生を豊かにする教養」を広めるのが生きがいだ。

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