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著者に会いたい

峠の歴史学―古道をたずねて 服部英雄さん

[掲載]2007年11月25日
[文・写真]大上朝美

■歴史の道を歩いて聞いて

 「峠」という言葉には、山国日本の人の心に訴えかける何かがある。峠の向こうは他郷。さまざまな目的で人が、牛馬が、時には命がけで山道をたどり、峠を越えた。

写真服部英雄さん(58)

 この本で、中世史が専門の九州大教授・服部英雄(はっとり・ひでお)さんは、中山道の和田峠や中部日本の鎌倉街道、紀伊半島の熊野道ほか各地の古道を実際に歩き、往時を探る。土地の人に、道にまつわる言い伝えや慣習などを聞き、採録しているのが印象的だ。

 「歴史研究は、ふつうは文献でわかることが中心ですが、それは偏っている。文字に縁がない人たちのことや日常茶飯事は、文字に残らないんです。文献と、文献にないことを補完させ合いながら歴史像を描く、それが僕のスタイル」と語る。

 話を聞く相手は「行き当たりばったり」だそうだが、生活の変化は加速度的である。「牛や馬を使った経験があるのはもう、高齢の方々。炭焼きなど山の生活も継承されていかない。いま聞いておかなければ、という思いはありますね」

 戦国期の武将佐々成政が、越中から厳冬期の立山・ザラ峠―針ノ木峠を越え、浜松の徳川家康を訪ねたという有名な壮挙に、「まず不可能」と異論を唱え、別のルートを提示しているのが興味深い。それは飛騨と信州を結ぶ鎌倉街道で、自身も歩き検証したが、地元から反論もある。

 「まあ、地元ではずっとそうなってますから」と、笑顔を見せる。

 大学の助手から文化庁に転じ、16年勤めた経歴を持つ。「歴史の道」整備事業などに携わり、本の冒頭で扱う中山道・和田宿の復活にかかわった。「歴史の道を残せるか、半分は人の熱意、半分は運」だそうだ。

 この本を契機に「峠の歴史学を歩く会」を立ち上げ、忘れられゆく峠の魅力を広く共有したいという

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