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著者に会いたい

短歌の友人 穂村弘さん

[掲載]2008年01月27日
[文]大上朝美 [写真]安藤由華

■鏡に映る「人と時代」を読む

 歌人の穂村弘(ほむら・ひろし)さんが現代短歌を読み、考えた本である。斎藤茂吉、塚本邦雄らを経る時間軸と、現在を横断する面との交差点に立ち、31文字の定型を持つ短歌が映し出す人と風景を読みとっていく。

写真穂村弘さん(45)

 「人間も時代も映す鏡として、ごまかしがきかないのが短歌。その時どきの歌を横軸で拾っていくと、変化が歴然とします」

 そもそも、90年に歌集『シンジケート』で登場した穂村さんら「ニューウエーブ」世代が、短歌の風景を変えたといわれた。口語を使い、日常の小さな差異に感覚を働かせる。『サラダ記念日』の俵万智さんも同世代である。しかし穂村さんに言わせれば、「定型意識」を共有しているからこそ、上の世代が困惑するような変則も「武器」として使えた。

 ところが、近年の若い人たちの歌に見えるのは「短歌の武装解除」だという。「想(おも)い」がほとんどそのまま「うた」になる。フラット、棒立ち、あまりに素朴な感じ……。

 背景の現代社会を「命の使いどころが見えない」と見て取るのが面白い。使われない命はそれ自体が目的化し肥大して、かえって息苦しい。そんなねじれた酸欠世界では、「生の実感」も一筋には得られない。ただ、節目ごとにシフトチェンジを遂げ、「うた」は千数百年生きのびてきた。実にしぶといのである。

 「IT、ことにケータイが行き渡った結果、メールで短い言葉を発信する機会が爆発的に増えた。言葉のそんな量的拡大が、詩という垂直への意識を生まないとも限らない」。ラジオ番組でケータイ短歌に多く接しての感想である。車中でメールを打つ人々の姿ががぜん、言葉を豊かに耕しているようにも見えてくる。

 久々の歌集を「今年は出します」と宣言。歌壇内外から待たれている。

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