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エビと日本人2 村井吉敬さん

[掲載]2008年3月2日

  • [文・写真]三ツ木勝巳

写真村井吉敬さん(64)

■「生産者の顔」知ることから

 エビを通して日本と東南アジアの関係を描いた『エビと日本人』を出したのが、バブル景気時の88年。本書は、その後を追った続編だ。バブル崩壊から失われた10年を経て現在へ。その間に世界の食糧輸出入の舞台で中国が台頭し、日本はエビ輸入世界一の座を米国に譲った。エビに映る日本の“地位低下”は著しい。

 「前著のデータが古くなって使いものにならなくなり、そこだけでも書き換えようかと思っていた。だが、輸入の2割だった養殖が、今では5割を超えるなど内容も変質した。グラフや数字を変えただけでは追いつかなかった」と、上智大の村井吉敬(むらいよしのり)教授は本書執筆の動機を語る。

 インドネシアや南米のニカラグアなどの養殖池を訪ね、ブラックタイガーからクルマエビ属のバナメイへと養殖品種の主力が移りつつある現状などを報告する。マングローブの林を切り開いて、養殖池の多くはつくられる。スマトラ沖地震の津波では二十数万人が犠牲になった。この惨事もエビ養殖と無縁ではない。

 マングローブ林は津波の際、被害の防止に役立った。津波被害は「天災ではなく人災。エビとつながっている。そのことは書いておかないといけないと思いました」。マングローブの危機が叫ばれて久しい。だが、日本は、マングローブの木炭も輸入している。

 エビは私たちの食卓に届くまでに少なくとも14もの段階を経る。そこには池で働く日雇い労働者や工場で一日中背わたを取る人々の存在がある。一方で食糧の6割が海外から来る時代になった。「日本は豊かな消費者運動があったが、輸入品には機能しなかった。低価格を追った果てが毒入りギョーザではないか。私たちは、つくる中国人の顔を知ろうとしてきただろうか。違う暮らし方、顔の見える関係づくりに向かうべきです」

表紙画像

エビと日本人 (岩波新書)

著者:村井 吉敬

出版社:岩波書店   価格:¥ 777

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