[掲載]2008年5月18日
棚橋俊夫さん
■食の総合大学を作りたい
東京・原宿で15年間続けてきた精進料理の店「月心居(げっしんきょ)」を昨年末に、閉店した。最後の1、2年は、毎日予約でいっぱいになる盛況ぶりだった。閉店を惜しむ声も多い。閉店の理由について棚橋俊夫(たなはしとしお)さんは、「今までやってきたことを一度ゼロ設定にしてみて、改めて食に関してどんなことができるのかを考えてみたいと思いました」と話す。
大学受験浪人中に、哲学者の沢田允茂・慶応大教授(当時)と出会って人生が大きく変わった。沢田さんの自宅に住みついて家事全般を教わりながら、沢田さんから「生活の中にこそ、真の哲学がある」ということを学んだ。ある日、「経済の勉強をしたい」と進路の相談をしたところ、「そんなものはやめておけ。農業の勉強をしなさい」と言われ、大学では農業経済学の勉強をすることにした。生きることの根本にかかわる「食」に関する仕事をしたいと思い、料理人への道を目指した。
そんな時に、大津市の禅寺「月心寺」の庵主(あんじゅ)、村瀬明道尼が作る精進料理をテレビで見て、「これだ」と思った。27歳で弟子入りして3年間修行した後、「月心居」を開いた。
店を閉めてからは、主宰する「是食(ぜくう)キュリナリーインスティテュート(http://www.zecoow.com/)」を拠点に、東京と京都で料理教室を開くほかに、フランスの企業が都内のホテルで開いた大きなパーティーのメニューづくりを頼まれたり、小学校で食についての授業をしたり、と活動の場が一気に広がった。
「これからは、食をテーマにしたテレビドラマや映画の企画を立てたり、日本の食のよさを世界に伝えたりしながら、最終的には食の総合大学のようなものをつくることを目標に活動していきたいと思います」
著者:棚橋 俊夫
出版社:河出書房新社 価格:¥ 1,890
ここから広告です
広告終わり