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軍隊のない国家 前田朗さん

[掲載]2008年7月20日

  • [文]山口栄二 [写真]高波淳

写真前田朗さん(52)

■高い外交能力を学びたい

 05年、国連人権委員会に出席するため、スイスのジュネーブに行った時に、東京造形大学教授(刑事人権論)の前田朗(まえだ・あきら)さんは、スイスの軍隊廃止運動をしている同国人の弁護士と出会った。「世界には軍隊のない国が27ある」という彼の話を聞いて驚いた。そのうち7カ国ぐらいしか知らなかった。「実態を見てみなければ本当のことはわからない」と思った。

 それが3年近くにわたり春と夏の休みを利用しながら、私費800万円を投じて27の国を訪ねて歩く旅の始まりだった。コスタリカ、サンマリノ、アイスランドなど、軍隊廃止にいたる経緯や理由はさまざまだが、どの国にも共通していたのは、「自由と独立」の気風が国民の間に強く根付いていることだ。

 実際に現地に行って初めてわかったことも多い。例えば、カリブ海の島国、セントクリストファー・ネビスには、いったん解体した「防衛隊」という組織が97年に復活したとされているが、実際に現地で調べてみると、その主な任務は国内の治安維持と警察活動の援助で、軍隊というより特別機動隊といった方が実態に近いことがわかったという。

 「軍隊のない国」は小国が多いが、それらの国からわれわれ日本人が学ぶべきことは多いという。その一つは「外交能力の高さ」だ。スイスとオーストリアに挟まれ、欧州の中央部にあるリヒテンシュタインは1868年に軍隊を廃止。第2次大戦中も中立を守り、オーストリアがナチスドイツに併合された後も、ドイツと直接交渉の末、併合を免れた。

 「小さな国はお金も軍事力もないから、外交能力で生きのびるしかないんです。それに比べ、日本は昔は軍事力、今はお金の力を背景にした外交しかしていない」

表紙画像

軍隊のない国家―27の国々と人びと

著者:前田 朗

出版社:日本評論社   価格:¥ 1,995

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