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ドキュメント死刑囚 篠田博之さん

[掲載]2008年9月14日

  • [文]吉住琢二 [写真]林正樹

写真篠田博之さん(57)

■罪を償うこととは何か

 今年6月に刑が執行された連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤・元死刑囚、奈良市の女児誘拐殺人事件で死刑が確定した小林薫死刑囚、04年に刑が執行された大阪・池田小児童殺傷事件の宅間守・元死刑囚。日本中に衝撃を与えた重大事件の犯人たちと直接、間接に取材・交流を続けてきた月刊誌「創」の編集長、篠田博之(しのだひろゆき)さんの初めての単著だ。

 「多くの死刑囚とかかわってきたが、この3人には反社会性人格障害という診断のほかに、父親への憎悪といった家族関係の問題の共通項が多い。事件解明のために考えなければならないテーマだと思う」

 宮崎死刑囚とは12年にわたり300通を超える手紙をやりとりし、小林死刑囚とも文通や面会を重ねた。宅間死刑囚とは獄中結婚した女性らと交流を続けてきた。月刊誌上でも公表してきた彼らの“肉声”をもとに事件の深部に迫っている。

 犯人たちが抱える社会不適応と家庭環境、宮崎死刑囚の精神鑑定への疑問……。根気強く事件のパズルを解く作業の一方で、宅間死刑囚の元に「自分も宅間になっていたかも」という“共感”の声がいくつも寄せられていたことを知って驚く。

 犯罪者の手記を載せることに非難も受けた。「それは覚悟の上。被害者の権利擁護は大事だが、誰かが加害者にも近づいて真実を解明しなければ、従来の常識では推し量れないこうした犯罪の予防にはつながらない。宅間死刑囚に共感する側にも想像力を働かせ、その意味を探るのがジャーナリズムの仕事ではないか」

 謝罪を口にせず自ら死刑を求める彼らと接して思う。「罪を償うとは何か? 死刑は犯罪抑止効果があるというが、罪と向き合い罪を償う過程は今の裁判では抜け落ちている。それを考えることを放棄してはいけない」

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