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読むので思う 荒川洋治さん

[掲載]2009年1月4日

  • [文]佐久間文子 [写真]松本敏之

写真荒川洋治さん(59)

■自分の世界広げるために

 「本を読むと、何かを思う。本など読まなくても、思えることはいくつかある。だが本を読まなかったら思わないことはたくさんある」。現代詩作家荒川洋治(あらかわ・ようじ)さんの、読書やことばについての短い文章を集めた本の中の一節だ。

 タイトルの「読むので思う」とはそういうことだ。「『思い』の種類の少ない日常を送っている自分の世界が、本を読むことで広がっていく実感がある」と荒川さんは言う。

 本当は読むのが苦手である。読み始めるまでのらりくらり過ごし、意を決して本のページを開く。

 ある本について書いた文章を10年後に自分で読みかえすと、「書かなかったことは消えてしまう」と気づく。書いたものがその本のすべてになる。読む、思う、書く、すべてがつながっていることへの緊張がある。

 本の中で詩人北村太郎の「読書によって心が広くなるより、狭くなる人の方が多い」という言葉も紹介されているのが面白い。「常に意識して空気を入れ替えないと、読書は悪いものになる可能性もあるんです」

 だからなのか、荒川さんは、好きな作家のことが時折いやになるそうだ。読まなくなって1年2年たつと、また無性に読みたくなる。それを周期的に繰り返している。

 本のエッセーは数冊出している。最近の傾向として、白川静、大野晋、網野善彦ら独自の世界をもった学者の文章を意識して読むようになった。若い人を相手に話すとき、文学だけでは言葉が相手の中に入っていかないと感じてからだという。

 「大人の読むものと学生の読むものが今同じになっちゃった。それでは変化を求める力が摘み取られるんだね」。世界を広げるために、若い人には大人と反目するような過激な読書をすすめたいと話す。

表紙画像

読むので思う

著者:荒川 洋治

出版社:幻戯書房   価格:¥ 2,520

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