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ワインで考えるグローバリゼーション 山下範久さん

[掲載]2009年11月8日

写真山下範久さん(38)

■生産者と消費者、認め合えば

 日本ソムリエ協会認定のワインエキスパートにして、帝国論などで注目される気鋭の歴史社会学者。こう書くと、異色の経歴のようだが、本書を読めば、グローバリゼーションについての入門書を書くのに、これほど最適な“マリアージュ(組み合わせ)”はそうはないと納得させられる。

 ワインというモノを通して、グローバリゼーションの歴史や代表的な理論、将来の展望までが講義形式で語られるが、時に「うーん、飲みたい」などと、抑えきれないワインへの愛情がにじみ出る。「飲んでるときに実はこんなこと考えていましたと、飲み仲間に打ち明けるつもりで書きました」

 本書の発端は、前任の北海道大学時代にある。知り合いもいない札幌の街にどうやって溶け込むか。そして、グローバリゼーションについての講義も「話が抽象的で伝わりにくいなと」。この二つの悩みを解決してくれたのが米国留学で開眼したワインだった。

 「飲み仲間ができたら」と札幌のワイン学校に入ったところ、ここ数十年でワイン市場の画一化が進む一方で、伝統的な土着のワインづくりが標榜(ひょうぼう)されるなど「グローバリゼーションについての議論と同じことが起きていた」。

 これは使えると、ワインの資格を二つも取り「理論武装」。2年準備して講義を始めたら好評だった。

 現在の立命館大学では、ワインを使った講義をする機会はないが、その後の講演や、世界情勢の変化も盛り込み、本書を今夏、2カ月で書き上げた。

 グローバリゼーションの是非、のように2項対立で語られがちだが、問題は消費者と生産者の距離が遠くなりすぎたことだと考える。本書で提案するのは「価値の共有」だ。「生産者が発信力を高めると同時に、消費者も生産現場に想像力を働かせ、相互に認め合うことが大事だと思う」

 (文・久保智祥 写真・伊藤菜々子)

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