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ロスト・シンボル ダン・ブラウンさん

[掲載]2009年3月7日

  • [文]山中季広 [写真]坂本真理氏

写真:ダン・ブラウンさん(45)拡大ダン・ブラウンさん(45)

■生か死か、息もつかせぬ展開

 日本と違って米国では読む本にカバーをかけないから、隣席の客が何を読んでいるかすぐわかる。昨秋以降、ニューヨークあたりの通勤電車やカフェでこの本を見かけない日はまずない。

 欧米で早くも1900万部を突破した。一説に年収70億円。屈指の人気作家になるまでは、出身高校で英語を教えていた。幼児音楽の作曲家だった時期もあるが、あまり売れなかった。

 転機は、旅先のタヒチで拾った一冊の本だと言う。誰かが読み捨てたシドニー・シェルダンの『陰謀の日』を読み始めたら、面白くて止まらない。

 「ひらめきました。行ける、これなら僕も書けると。それまで読むのはフォークナーとかシェークスピアとか古典がほとんど。まさに天啓でした」

 最初にヒットしたのは、03年出版の第4作『ダ・ヴィンチ・コード』。これが8千万部も売れた。まったくふるわなかった第2作『天使と悪魔』も追って4千万部を記録。どちらも、トム・ハンクス主演で映画化された。

 第5作も主役はやはり、ハーバード大学のラングドン教授だ。右手を切り落とされた旧友を救うため、追いつ追われつ教授が走る。死ぬか生きるか、息もつかせぬ展開に読者もわれ知らず引き込まれる。この疾走感がたまらない。

 疾走感のもとは何ですか? 「子供のころの宝探しでしょうか。父が宝隠しが大好きで、誕生日やクリスマスの贈り物も、自力で探さないともらえない。手書きの地図と暗号を与えられ、家の近所を自転車で疾走しました」

 完成まで6年を要した。膨大なリサーチを手伝うのは、12歳年長の妻ブライズさんただひとりだ。

 執筆中は毎朝4時に起床。砂時計の尽きる1時間ごとに腹筋を動かし、逆さで数分ぶら下がる。「酸素が脳に行きわたるようにね。刺激的な小説は頭がさえてないと書けませんから」

    ◇

 越前敏弥訳

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ロスト・シンボル 上・下 2冊セット

著者:ダン・ブラウン

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