[掲載]2010年3月14日
■この食卓は驚きか、フツーか
首都圏の子供のいる家庭の食卓を調査して13年目になる。岩村さんは広告会社アサツーディ・ケイの200Xファミリーデザイン室長。最新刊にはいまどきの食卓の写真274枚が並ぶ。
お菓子の朝食、素ラーメンや素焼きそば、家族そろってもバラバラのメニュー、食べたい時にそれぞれが食べる“勝手食い”の様子……。120世帯に、1日3食を1週間にわたりレンズ付きフィルムで撮影してもらった。この実態に驚くか、「ウチも同じ」と思うか。読者の受け止め方が分かれるところに本書の面白さがある。
もちろん岩村さんは驚いたほうだ。これまで見た食卓写真は8千以上にのぼる。調査を始めたのは、90年代からファミリー市場でマーケティング調査が当たらなくなってきたのがきっかけだった。「なぜずれるのか。それまでの〈家族〉とは違う価値観の〈家族〉が出現しているのではないか……」
ちょうど60年以降生まれの人が親になり始めていた。使えるデータがないなら自分たちで調べるしかないと、60年以降生まれの主婦に食卓の記録を依頼し、インタビューを重ねてきた。
本書には、子の嫌いなものを食べさせることを「私のストレスになるから、そういうことはしたくない」という親や、「子供が食事の時間に寝ていたから起こさなかった」と欠食させる親のインタビューも登場する。
「食卓は家族や社会を映し出す鏡。急速に崩壊していますが、どうあるべきか、データを深く見つめれば見つめるほど簡単にはいえない」
「60代以上の人からは『これは私たちの世代の責任』という声も寄せられ励まされますが、10年前はみんな驚いていたのに、最近はそうでもなくなっているのが気がかり。私の危機感が通じる人がいるあいだに、家族がどう変わっていったかを書きとめなきゃと思っています」
著者:岩村 暢子
出版社:新潮社 価格:¥ 1,575