現在位置:
  1. asahi.com
  2. エンタメ
  3. BOOK
  4. 著者に会いたい
  5. 記事

売春未満―新・名前のない女たち 素人女性編 中村淳彦さん

[文]鈴木繁 [写真]麻生健

[掲載]2011年7月3日

写真:中村淳彦(あつひこ)さん(39)拡大中村淳彦(あつひこ)さん(39)

表紙画像著者:中村 淳彦  出版社:宝島社 価格:¥ 1,260

■アダルト産業は壊滅寸前です

 3、4万円の謝礼で、アダルト雑誌に裸や性的イメージを売る女性たちのルポルタージュだ。

 元となった『名前のない女たち』は、アダルトビデオ界で「企画女優」と呼ばれる無名の女性たちのインタビュー集。中村さんが20代で始め、4タイトルで25万部以上のヒットになった。「売れっ子の『単体女優』には聞けない本音がさらけ出され、驚くほど反響があった」。特に同性が支持、ある書店の調査では購買者の6割を女性が占めたという。

 だが、2冊目を過ぎたあたりで、中村さんは取材が苦痛になっていった。極限状況で生きている女性たちに気持ちが入りすぎ、「ライターには何もできない」という無力感にさいなまれた。アダルト産業全体の急激な地盤沈下が追い打ちをかけ、「最後は自分も、破滅や死の側へと持っていかれそうになってしまった」。2008年の春、『名前のない女たち』からの「離脱」を宣言。老人介護の会社を立ち上げた。

 新事業は順調だという。なのになぜ、また、苦渋に満ちた性の切り売りの現場に戻ってきたのか。

 「今回は、冷淡な感じでも取材が進められた。素人女性たちの頭にあるのは、『裸とセックス=お金』という思い込みによる図式だけ。企画女優の時のように、暗闇に引きずり込まれる恐れがありませんから」

 登場している女性たちは、夫や婚約者がいても、職があっても「暇だから」「仕事に疲れた」と語りつつ、肉体をさらす。「でも、その先のアダルト産業は衰退の一途。お金も展望もない過酷な現実が待っている。簡単に考えないほうがいい」

検索フォーム
キーワード: