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売れてる本

となりのクレーマー [著]関根眞一

[掲載]2007年07月29日
[評者]小柳学(編集者)

 2年前に買った毛皮をタンスから出したら虫食いの跡が。そこで百貨店に、「弁償するかちゃんと修復してください」。……マジかよ!と思うが、こうしたクレーマーが増えているという。クレーマーとは正当な苦情ではなく、常識外の意見を言って金品をたかる人、相手を困らせて快楽をえる人のことだ。

 彼らとの攻防を、大手百貨店のお客様相談室長を経験した著者が、九つのドラマにして再現している。あの手この手を使ってのイチャモン……一歩間違えば、店の評判を落としかねない。言葉は丁寧に、しかしときに毅然(きぜん)として対応。「あんたは、謝り方がうまいだけだな」と言われれば、「それじゃあ俺(おれ)が今まで謝罪で頭を下げていたというのは、嘘(うそ)だと言うんですか」。張りつめた緊張感のなかで、映画さながらの台詞(せりふ)を吐く場面も。

 病院や学校でのクレーマーの事例も紹介。巻末には、「正確にメモを取る」「一般の苦情客を、クレーマーに仕立てない」などの対処法をあげる。

 医者や学校教師ら、実際に対応に追われている人たちがコアの読者。さまざまな業界から著者への講演依頼があり、編集部あてに1日3件あったときも。

 著者は現代を「苦情社会の到来」とする。「誠意を見せろ」という、いわゆるその筋の人たちがよく使う常套句(じょうとうく)を、素人が口にするようになったと指摘。自己主張が基本のアメリカ型社会になって、「一部の人が勘違いして暴走している」と横手拓治編集長はいう。

 クレーマーが「となりにいる」事態のなかで、苦情を言われる側がきちんとした対処法をとってこなかったことも、本書が読まれている理由のようだ。

    ◇

 7刷・11万5000部

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