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売れてる本

不機嫌な職場 [著]高橋克徳・河合太介・永田稔・渡部幹

[掲載]2008年03月23日
[評者]小柳学(編集者)

 職場の不快指数が高い。

 朝の挨拶(あいさつ)もなくそれぞれ淡々と仕事を始める。

 同僚が困っていても業績にならないことはしない。

 席が隣の人とでも直接会話せずメールでやりとり。トラブルがあれば、お互い関係者へのCC(同報メール)付きで自分が正当であることを主張する。

 本書はそうした寒々しい職場の例をあげたうえで、その構造を分析。かつての日本は仕事の範囲があいまいなため、手抜き仕事が見逃されていた。個人個人の成果を厳密に問う成果主義の導入によってそれはなくなったが、同時に、個人間のつながりが希薄になったとする。

 経営コンサルタントを中心とした著者たちが、「職場の雰囲気が悪くて……」という相談をよく受けるようになったのは2、3年前からという。読者層は20〜40代が中心。「うちの会社を見て書いているのではないかと恐ろしくなった」「うちは無関心の職場です」などの感想が届く。

 本の後半では、社員同士の協力がうまくいっている組織を紹介。アイデアを一人で抱えこまない仕組みをつくっているグーグルの広報担当者は、自社を「昔の日本の会社のよう」という。IT企業のサイバーエージェントは2駅以内に住んでいる社員に家賃補助を出す。近くなら時間を気にせず飲めるだろうという配慮だ。かつてよくあった「仕事帰りの一杯」の奨励だ。

 「情報社会といいながら肝心の情報は共有されず、失わなくてもよかった日本らしさまで失ってしまった」と担当編集の田中浩史さん。本書が売れているのは、この10年で激変した職場環境が、いまもまだ揺れ動いていることの表れだろう。

    ◇

 7刷・10万部

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