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売れてる本

宇宙への秘密の鍵 [著]ルーシー&スティーヴン・ホーキング

[掲載]2008年04月06日
[評者]小柳学(編集者)

 髪の毛にこすりつけた定規を蛇口から流れる水に近づけると、水がひゅっと曲がる――少年ジョージが、科学者の父親をもつアニーの家で科学の魅力を知るところから物語は始まる。やがて、ジョージとアニーは、コンピューターのコスモスが作る、宇宙への扉をくぐり……。

 ブラックホール研究で知られる大科学者ホーキングとその娘による宇宙冒険ファンタジー。物語の合間に、美しい惑星や銀河の写真、そして太陽系などを解説したコラムがはさまる。

 大人の読者も想定し、原著のイメージを変えた。ほぼ全ページにわたってあった漫画風イラストをなくし、あらたにファンタジー風イラストを小さく数カ所掲載し、カバーも物語を感じさせるものに。「一般書の棚にも置かれるよう、2カ月前に仮綴(かりと)じ本を作り営業しました」と津久井惠編集部長。

 現在はどの世代にも広がっているが、発売当初は小学校高学年が中心の10代と、40代以上とに二極化。20〜30代は5%にも満たない珍しい売れ方となった。『ホーキング、宇宙を語る』が全世界的に読まれたのが約20年前。今の20〜30代は、「ホーキングを知らない谷間の世代」と編集担当の松岡由紀さん。

 「ブラックホールのイメージが初めてつかめた」という40代や、「おもしろいのでお父さんにすすめた」という10代の感想が届く。ちなみに、ブラックホールを説明した26章は、ホーキング博士自身が執筆したという。

 大学の理工学部の人気衰退に象徴される10代の科学離れも意識して編集した。「物語の顔をした科学の本」の工夫が、最近の科学書は売れないという定説を崩した。

    ◇

 さくまゆみこ訳、5刷・20万部

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