[掲載]2009年11月8日
■虚構における「キャラ」とは
西尾維新。その名前を聞いたこともない人もいるだろう。しかし彼は当代一の「売れっ子作家」なのである。10月の時点で、ベストセラーのトップ100に『化物語(ばけものがたり)』『傷物語』など5冊が入り、累計部数は約56万部(オリコン調べ)。この打率の高さは小説家として文句なしにトップクラスだ。
西尾の作品は一般に「ライトノベル」というジャンルに分類される。種明かしをすれば、その驚異的な売り上げは今夏放送開始のアニメ『化物語』の影響も大きい。
西尾維新は02年、『クビキリサイクル』で第23回メフィスト賞を受賞し、弱冠20歳でデビューした。若い世代でもっとも才気を感じさせる作家の一人である。
西尾ほど自らの資質と技量を冷静にコントロールできる作家を、私はほかに知らない。その勤勉さは、デビュー7年にして著書43冊(漫画原作含む)という安定した多作ぶりにもうかがえる。
「まんが・アニメ的リアリズム」(大塚英志)という言葉がある。漫画やアニメに描かれるようなキャラクターが登場する小説に関する言葉だ。西尾の書く小説は、まさにこうした原理のもとで書かれている。作り込まれた設定に、属性のはっきりしたキャラクター。文章も「馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな」(本作上巻あとがき)ものだ。
本作も、阿良々木暦(あららぎこよみ)、戦場ケ原ひたぎ、といった奇妙な名前を持つキャラクターたちが、ボケとツッコミを繰り返しつつ妖怪退治を繰り広げる、それだけの話、ではある。しかし私には、西尾が「虚構において『キャラ』はいかに取り扱われるべきか」という倫理的問題を、作品を通じて追究し続けているように思われてならない。これもまた現代文学の先端の一つ、といえば褒めすぎだろうか。
ちなみに本作では「神原駿河(かんばるするが)」というキャラが一番のお気に入りだが、理由は秘密にしておこう。
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17刷・計53万部
著者:西尾 維新
出版社:講談社 価格:¥ 1,680
著者:西尾 維新
出版社:講談社 価格:¥ 1,575
著者:西尾 維新
出版社:講談社 価格:¥ 1,365
著者:西尾 維新
出版社:講談社 価格:¥ 820
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