海女(あま)のいる風景 昭和の美しい海の女たち [著]大崎映晋

2013年04月17日

■伝説の水中カメラマンによる失われゆく海女文化の風景

 水深50メートル、濃紺の海底に向かって一気に潜水する海女たちの姿態は限りなく美しい。無駄のない鍛え上げた肉体が独特の美を伝える。著者は現在92歳。これまで日本全国に点在する200カ所もの海女村を訪れ、映像化してきた。本書が収録するのは、今では見ることのできない裸で潜る海女たちを中心とした貴重な写真と文、海女をめぐる椎名誠氏との対談などだ。
 現代は海洋汚染が進み、海女たちが潜る環境自体が大きく変化してしまった。それだけに本書が伝えるのは、昭和に生きた海の女たちの姿にとどまらない。かつての漁村の暮らしぶりや、そのなかで輝きを放っていた海女文化なのである。水中写真家の草分けといえる著者は、自ら撮影した海女について「この世のものとも思えない人魚のような美しさ」「かけがえのない貴重な何か」と形容する。本書の「海士村探訪記」「パール・バックと語り合った海女文化」「海女・むかし物語」は、舳倉島(石川県)、伊豆、房州、対馬(長崎県)など、全国の海女村に30年間通い続けた著者でなければ描くことができない貴重なフィールドワークであろう。

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