本能寺の変——431年目の真実 [著]明智憲三郎

2014年09月17日

■光秀の末裔が冷徹に分析した歴史的大事件の新たな解釈

 著者は、明智光秀を父とする於づる丸(おづるまる)の末裔(まつえい)である。本能寺の変に縁のある著者が、徹底的に史料を調査した結果は、私たちが歴史の定説として理解した内容と大きく異なるものであった。先頃、本能寺の変の10日前に記された長宗我部元親から光秀重臣への書簡が発見され、話題を呼んだだけに、著者の新説に耳を傾ける価値は十分にある。著者が注目するのは、事件の現場に居合わせ、生き残った黒人の小姓・彌介(やすけ)の証言である。著者によれば、彌介が伝えた信長の言葉は「余は余自ら死を招いた」という内容であった。
 その本意を丹念に分析した著者は、これまで流布した本能寺の変に関する定説に異を唱える。怨恨(えんこん)説等の従来の解釈は、明治維新以降の国策抜きには成立しなかったと断言し、「歴史捜査」と名づけた独特の手法によって、驚くべき結論を導き出す。それに加えて、家康と秀吉の真の狙いがどこにあったのか、のちに千利休が秀吉に切腹を命ぜられた理由に至るまで、事件の背後に隠された真実をあぶり出す。その筆致は切れ味良く、あたかも一級のミステリーを読むような興味を覚える。

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