私が選んだ——プロ野球10大「名プレー」 [著]野村克也

2014年09月17日

■プロ野球界きっての知将が語る名プレーに隠された秘密と神髄

 今年は日本のプロ野球が始まって80周年にあたるという。本書はそんな歴史の節目にふさわしい内容だ。戦後初の三冠王など数々の記録を打ち立て、監督としても輝かしい功績を残した著者が、プロ野球史に残る10の名勝負・好プレーを選び、その舞台裏とともに語っている。
一例を挙げれば、長嶋のデビュー戦。名投手・金田によって4連続三振というさんたんたる結果に終わったが、著者の見方は異なる。いかに六大学のスターだったとはいえ、ルーキーがあの金田から「空振り三振」できることの凄(すご)さを、実際に対戦した者ならではの視点で分析してくれる。また、有名な「江夏の21球」は、スクイズを外したスローカーブに注目が集まるが、その前に投げたシュートが勝負を分けていたという指摘も、なるほどと思わせる。
 野球は筋書きのないドラマというが、名プレーの裏には、周到な準備や心理戦が隠れていたことがよく分かる。改めてプロ野球の本当の面白さが理解できるだけでなく、その奥深さに驚かされる思いだ。現在、大リーグで活躍中のイチローや田中将大についても著者ならではの分析には説得力がある。

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