〈ふつう〉から遠くはなれて―「生きにくさ」に悩むすべての人へ 中島義道語録 [著]中島義道

2016年11月24日

「生きにくさ」に悩むとき知恵と希望を与える名言集

 哲学者である著者はこれまで65冊の著作を出版した。その1冊1冊が、書くことによって「生き延びてきました」という決意によって生まれた。その膨大な文章のなかから厳選したアンソロジーが本書である。その内容は著者独特の言い回しや、はっとさせられる警句に満ちている。著者はすでに少年時代に、いつか死んでしまう以上「幸福」はありえないと悩み抜いたという。
 「死という絶対的不幸は私にとって必要なのである。もし、死ぬことをこんなに恐れていなかったとしたら、私は日々の相対的不幸に呑(の)み込まれ打ち砕かれていたにちがいない」「『人生は生きるに値しない』と心の底から確信することによって、ようやく明日からも一抹の希望をもって生きていける」。いずれも本書のほんの一部分に過ぎないが、読み進むうちに、言葉の背後に横たわる著者の世界観が見えてくる。「幸福とは、思考の停止」といってはばからない著者の一見、逆説的な主張に耳を傾けるとき、読者は考え抜く自分自身の姿を発見するだろう。答えのない問いに真剣に向き合うことこそが考える力を鍛え、「生きにくさ」に対する答えを見いだしうるということが理解できるのである。

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