98歳。心して「一人」を楽しく生きる [著]吉沢久子

2016年12月28日

何でも面白がり、工夫して前向きに考える。幸せに生きる心構えが詰まったエッセー集

 生活者の目線で折々の暮らしの楽しみや食文化、老年世代の生き方などを発信している著者は今年98歳になった。昨年、人生初めての検査入院で病が発覚し気力の衰えを経験するも、現在はそこから立ち直り、身内や知人の手を借りながら一人暮らしを続けている。本書は、この1年半ほどの間に書き下ろしたエッセーを中心に、過去に発表した文章も合わせて収録した『年齢シリーズ』の9冊目である。
 著者は、同じ生きるなら楽しく生きたい、失ったものをくよくよ考えるよりも残されたものを大切にしたいという。朝、目がさめると「今日は何を食べよう」とワクワクし、入院して眠れない夜は病室の窓から街の夜景を眺めて面白がる。また、動くのがつらくなった高齢者が簡単に在宅投票できる方法を考えたり、ボランティアを受ける側のマナーについて提言したり、社会を見る目も老いてますますさえる。前向きで丁寧な生き方は、読む人を元気づけ、老いの迎え方の目標を示す。あらゆる年代の読者に、自分の気持ち次第で毎日新しい喜びに出会えるというヒントを与えてくれる。

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