毛沢東―中華人民共和国と二十一世紀世界の資本主義と民主主義 [著]本田良一

2016年12月28日

毛沢東の著作を丹念に分析し現代社会に警鐘を鳴らす

 本書は、『毛沢東選集』をひもとき、中華人民共和国の歴史及び政治経済の特徴を分析し、我が国がいかに同国と向きあうべきかを真摯(しんし)に論考した労作である。元参議院議員として政治の世界を歩み続けた著者は、「毛沢東は生きている」と注意を喚起する。いわば緊急提言ともいうべき本書は、『毛沢東選集』の「アメリカの政治資本を奪う」という挑発的な記述に触発され書かれた。
 著者の問題意識は、世界第2位の経済大国として成長を遂げた現在の中国が、領海、領空において既存の国際条約や法規範を無視してまで、その覇権を現実のものとしつつあるという点にある。その根底には毛沢東の政治哲学が一貫して流れていると指摘するのである。では、我が国はいかに対処すべきか。「中国の夢」、すなわち覇権の脅威に対して、今こそ「自由と正義」を原動力とする民主主義諸国が結束して、民主主義と資本主義を再生させねばならないと強調する。そして日本のなすべきことは、ウラジオストク、オホーツク海、千島海峡、モンゴルといった地域の「フロンティア開発」を通じた経済の復活にあると力強く結んでいる。

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