あせらず、たゆまず、ゆっくりと。―93歳の女優が見つけた人生の幸せ [著]赤木春恵

2017年03月23日

80年の女優人生を支えてくれた心に残る人たちとの出逢い

 この春93歳となったベテラン女優の人生を導いてくれたのは、たくさんの出逢(であ)いだったという。「途方にくれたとき、いつもどなたかが背中を押してくれた」、そんな得難い出逢いを振り返りながら、80年近くになる女優人生で学んだこと、つらかった戦争体験、人生の希望や生きる礎となったことなどを穏やかな筆致でつづる。
 著者が16歳で女優デビューしたのは太平洋戦争勃発の前年。まさに青春の真っただ中に戦争があった。後に唯一無二の“心友”となった森光子との出逢いは慰問団のトラックの上だったし、満州からの引き揚げの途中で力になってくれたのは、当時16歳の藤山寛美だったという。その後も、女優として開眼させてくれた森繁久彌、「渡る世間は鬼ばかり」の脚本家、橋田壽賀子らとの、いくつもの出逢いを重ねて女優の道を切り開いていった。そして、映画「ペコロスの母に会いに行く」で主役を演じたのは89歳のとき。実生活でも車椅子でリハビリに励む毎日だが、95歳まで女優でありたいと願う。懸命に生きてきた故の自然体に、老いもまたよしと勇気をもらえる一冊である。

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