大人しく老いてなんかいられない [著]広瀬久美子

2017年03月23日

老いを自覚しつつも毅然(きぜん)と生きるシニア世代への応援歌

 著者は、誠実で歯切れのよいコメントが人気を博した元NHKアナウンサー。現在も講演や執筆などで活躍し、ベストセラー『女の器量はことばしだい』など著作も多い。16冊目となる本書は、自ら「人生最後」というにはあまりにもはつらつとしたエッセイである。
 寝る間も惜しんで仕事をしながら、一人娘を育て、義母の介護をし、数年前には夫が脳梗塞(こうそく)で急逝。人生初の一人暮らしとなったいま、気持ちは若いつもりでも、たびたび物忘れをしたり、絨毯(じゅうたん)につまずいたりと老いを実感する日々だという。そんな暮らしの中で、来し方を振り返り、女性が働くことの意義や、良好な夫婦関係、日本の社会が抱える介護や医療の問題点などに思いをはせる。とりわけ、優しかった夫との結婚生活に多くのページが割かれ、著者がいかに夫に支えられていたかが伝わってくる。また、夫の脳内出血を早期に発見したときの体のサインや、義母の介護時のエピソードなどは参考になる方も多いだろう。墓にこだわらず、誰にも迷惑をかけずに人生の幕を引きたいと語る著者の、豪快にして痛快なシニア世代への応援歌だ。

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