パリが教えてくれたボン・シックな毎日 [著]弓・シャロー

2017年05月25日

好きなものだけに囲まれ、凛(りん)としたフランス暮らし

 在仏51年、日仏のファッション業界で活躍した79歳の著者が、自らの暮らしをつづった本である。著者は東京麻布・鳥居坂の生まれ。曽祖父は東京慈恵会医科大学の創立者で、その家に嫁いだ祖母は有島武郎の妹である。名家でありながら自由な家風の下で育った著者は美術大学在学中からファッションイラストで頭角をあらわし、28歳の時に海外で自分の力を試したいと渡仏。以来、子ども服のデザインや自身のブランド発足、ジュエリーブランドのデザインディレクターとして活躍するなど、縦横無尽の働きをしてきた。65歳を自らの定年としてリタイア。現在はフランス人の夫と悠々自適の日々を送っている。
 著者は、戦後の混乱期に内職をして乗り切った母の後ろ姿から、生きることは働くことと学んだという。フランス暮らしは自立心をさらに高めた。そうした背景に裏打ちされた暮らしは、何十年も自分の体形に合ったパンツスタイルを貫くなど、シンプルかつ独創的。好きなものだけを選ぶ潔さに満ちている。ボン・シックとは趣味の良いという意味だそうだ。著者の凜とした生き方そのものがボン・シックである。

関連記事

ページトップへ戻る