雄飛 [作]小山ゆう

2017年05月17日

■伊集院静氏も絶賛! 巨匠、入魂の大河ロマン

 「“雄飛”の壮大なロマンには日本人が忘れかけた情愛のかがやきがある。自分もいつかこういう素晴らしい仕事を目指したいものだ」(作家・伊集院静)
 舞台は戦争の傷跡が色濃く残る昭和30年代だが、当時を知る人から平成生まれまで、世代を問わず楽しめるに違いない。大陸から引き揚げる途中、峻堂(しゅんどう)という男に母と姉を殺されて戦災孤児となった大垣雄飛(おおがきゆうひ)は、峻堂への復讐を胸に秘めて成長し、やがてプロボクサーに。雄飛をはじめ、戦争によって人生をくるわされた人物たちが多数登場し、それぞれの愛憎が入り組んだ重厚な大河ロマンとなっている。
 赤線、街頭テレビ、フラフープなど、当時の社会風俗もしっかりと描写。多くの人が貧しく、昭和30年代前半の大学進学率は10%に届かなかった。本作からも、「大学に行く」ことに今とは違う重みがあったことがよくわかる。
 連載開始時は『がんばれ元気』以来のボクシングマンガとして注目されたが、ボクシングは一要素に過ぎない。当時は毎日のようにゴールデンタイムに中継されたほどの空前のボクシングブームだったためで、作者が描きたいのは「昭和」に生きた人たち、そして「昭和」という時代そのものだろう。
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「ビッグコミックスペリオール」連載中

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