青楼オペラ [作]桜小路かのこ

2017年06月21日

■江戸・吉原を舞台に描かれる「将来(さき)のない恋」

 青楼(せいろう)とは「美女の住む家」のことで、江戸時代は吉原遊郭を意味していた。両親を謎の賊に殺されて家を取りつぶされた武家の娘・永倉朱音(ながくらあかね)は、犯人と事件の真相を探るため、自ら吉原の大見世(おおみせ)・曙楼(あけぼのろう)に身を沈め、「茜(あかね)」という遊女に。高利貸しの若旦那・近江屋惣右助(おおみやそうすけ)に目をかけられ、やがてふたりは運命的な恋に落ちていく。
 惣右助は色男で仕事ができる上、うなるほどの金を持っていて武士も頭が上がらない。そんな理想的ヒーローが、茜だけを一心に愛してくれる。また、永倉家に仕えていた用人で、茜を全力で守ってくれる利一郎(りいちろう)も女性にとって極めて魅力的なナイトだろう。
 遊郭の恋は悲恋になることが多いが、彼らも例外ではない。もともと惣右助は茜を身請けし、自由にできる財力を持っている。しかし彼は自分よりも茜の幸せを優先。永倉家再興がかなえば町人の自分とは一緒になれないことを承知で、何の見返りも求めず犯人探しに協力してくれるのだ。いずれ別れが避けられない「将来のない恋」が切ない。
 本作はミステリーの要素も大きく、徐々に明らかになっていく事件の真相にも引き込まれる。
 少女マンガ誌の作品だが大人にも読み応え十分だ。
    ◇
「ベツコミ」連載中

関連記事

ページトップへ戻る