未完成ピアニスト [作]筒井美雪

2017年08月16日

■「あがり症のピアニスト」と俺様の「皇帝」

 人前に出ると、緊張して頭が真っ白になってしまうという人がいる。音楽家や俳優など、常に人前でパフォーマンスをしなければならない場合、それは大変なハンディキャップになるだろう。普段ならしないミスもして、実力の半分も発揮できないに違いない。
 彩坂二葉(あやさかふたば)は多くの世界的音楽家を輩出した名門校・白城(しらき)音楽高校ピアノ科の1年生。ピアニストとして非凡な才能を持ちながら、極度のあがり症のため、最低ランクのCクラスでくすぶっている。一方、指揮者の父とピアニストの母を持ち、弱冠17歳で国際コンクールにも優勝した一ノ宮王輝(いちのみやおうき)は「ピアノの皇帝」とうたわれる天才ピアニスト。たまたま二葉のピアノを聞いた王輝は彼女の実力を高く評価し、無理やり指導してくれることに……。
 地味で引っ込み思案なヒロインと、彼女の才能を買う俺様ヒーローという王道の組み合わせに、「あがり症のピアニスト」というハンディキャップが新鮮味を加えている。人並み以上の実力を持ちながら、いざとなると思い通りにピアノを弾けない。二葉の悔しさ、もどかしさは多くの人が共感できるだろう。あがり症を克服して才能を開花させることができるのか? これからの展開が楽しみだ。
    ◇
「LaLa」連載中

関連記事

ページトップへ戻る