酔うと化け物になる父がつらい [作]菊池真理子

2017年09月20日

■あなたのお酒は「笑い話」ですまされますか?

 作者は『キツい取材に逝ってきました。』など、体を張ったお笑いレポートマンガで知られる小沢カオル。自身の生い立ちを描いた本作は、あえて本名の菊池真理子で発表している。
 インパクトあるタイトルから思い浮かぶのは、酔って家族に暴力をふるう酒乱の父親像だろう。しかし、作者の父は暴力などふるわない。「二日に一度は泥酔」してベロベロになるだけ。周囲から見れば愉快な酔っぱらいに過ぎないが、家族はまったく笑えない。
 やがて母は自殺。酒飲みの父は大嫌いなのに、作者は「酒を飲まず、家族を大切にする男」には魅力を感じず、異常なDV男と付き合ってしまう。父のせいでゆがんだ自分、血がつながった親子ならではの一筋縄ではいかない愛憎が赤裸々に描かれていく。
 日本は酔っぱらいに寛容な国で、酒の上での失敗もほとんど笑い話ですまされてしまう。しかし、WHO(世界保健機関)によると「飲酒の開始、終了、あるいは飲酒量に関して行動を統制することが困難」というのもアルコール依存症の症状の1つなのである。だとすれば、潜在的なアルコール依存症患者の数は、現在発表されている数よりもずっと多いと思われる。我が身を振り返り、愛する家族がいる人に読んでほしい1冊だ。

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