〈私のコミック履歴書〉俳優 浅野忠信

2017年10月18日

あさの・ただのぶ(俳優)

『刑事ゆがみ』3

「適当」にやってます

――浅野さんはツイッターやインスタグラムでマンガを発表したこともありますが、読者としてはいかがですか。
浅野 大好きです。もともと映画デビューは『バタアシ金魚』だったし、『ねじ式』や『鮫肌男と桃尻女』、最近だと『新宿スワンⅡ』とか、マンガ原作には本当に仕事でお世話になっているんですよ。

――初めて読んだマンガは?
浅野 『ドラえもん』ですね。小学2年生くらいだったと思います。それ以来、よく「(月刊)コロコロコミック」を親に買ってもらうようになりました。それから「(週刊少年)ジャンプ」に行って、さらに「ヤングマガジン」とか……。

――10代のころはどんなマンガが好きでしたか。
浅野 『バタアシ金魚』はオーディションに行く前から好きでした。「これはオレがやる以外にない!」と思ってオーディションに行きましたから。主人公のカオルがすごく不器用にソノコを追いかけ回して迷惑をかける。それがとても面白かったんですよね。

――なるほど。
浅野 『湘南爆走族』もすごく好きで。今でもケータイのアプリに全巻入っていて、ときどき読み返しています。出てくる少年たちはツッパリとかヤンキーと呼ばれるんだけど、スレてないというか、正義がある。きちんと筋が通っている心地よさがあるんです。

――出演した映画の原作で、特に印象に残っているものはありますか。
浅野 『殺し屋1』はすごいマンガでしたね。とにかくギッタギタに人を殺すから読むのが怖いんだけど、面白いから読んじゃうという。「垣原」の役が来たときは「こんなバイオレンスな役、できないよ!」と思ったんですけど、三池崇史監督の力もあって、やっていくうちにどんどんのってきちゃって……。

――最近面白かったマンガは?
浅野 久しぶりに『バタアシ金魚』の望月ミネタロウさんの作品を読みたくなって、『ちいさこべえ』を読みました。主人公が今どきの若者っぽくなくて、それがメチャクチャ面白かったです。

――ドラマで浅野さんが主人公の弓神適当(ゆがみゆきまさ)を演じている『刑事ゆがみ』は、読んでみてどんな感想を持ちましたか。
浅野 物語に出てくる刑事は「正義の味方」として事件を解決することが多いと思うんですけど、弓神はマトモじゃない刑事ですよね(笑)。いい加減で自分勝手。それでも他の刑事にない視点から、鋭く事件を解決していくのが魅力でした。

――刑事として弓神が優れているのはどんなところでしょう?
浅野 一辺倒な見方をしないところですね。刑事だけに限らず、習慣で「こんなもんだろう」と思い込んじゃうと、そういう見え方しかしなくなってしまう。ところが弓神は「毎回違う」ことをわかった上で、個々の犯人や被害者に向き合っていきますからね。

――弓神を演じる上で心がけていることはありますか。
浅野 適当にやること(笑)。なにしろ弓神は名前が「適当」なんですから、適当にやるのが一番の役作りですよ。また、自分が信じるやり方に固執すると、周りが見えなくなってムードが悪くなっちゃうことがあるんです。「適当にやったほうがいい」と弓神刑事から教わりました。実は力を入れるべきところはそんなに多くない。あとは適当に、つまりリラックスしてやったほうがいいんだ、と。

――映画『ルパン三世』で銭形警部を演じましたが、本格的な刑事役は初めてになりますね。
浅野 やってみたらしっくり来たし、弓神は僕らしいのかな、と思いました。本来、僕に刑事役は向いてない。弓神じゃなければ無理だな、と今回改めて実感しました。そんなわけで、いい加減にやってるので許してください(笑)。

    ◇

あさの・ただのぶ(俳優)
1973年、神奈川県生まれ。映画『地雷を踏んだらサヨウナラ』『私の男』『岸辺の旅』『淵に立つ』などに主演。今月スタートしたドラマ『刑事ゆがみ』(CX系・木曜夜)で主人公・弓神適当を演じている。

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