平成地獄ブラザーズ ハード・コア [作]狩撫麻礼 [画]いましろたかし

2017年10月18日

■伝説の黄金コンビが放つ、魂の叫びを聞け

 狩撫麻礼(かりぶまれい)という漫画原作者がいた。デビューは大友克洋への原作。谷口ジローやたなか亜希夫など優れた劇画家と一時代を画す傑作を生み、かわぐちかいじ、浦沢直樹、岡崎京子、松本大洋といった多彩な才能と「共犯」しつづけた鬼才だ。前世紀末、狩撫は突然その名を捨て、作品ごとに異なる筆名を使いはじめる。『ルーズ戦記 オールドボーイ』(土屋ガロン名義、画・嶺岸信明)や『湯けむりスナイパー』(ひじかた憂峰名義、画・松森正)、『平成大江戸巷談 イレギュラー』(椿屋の源名義、画・江口寿史)など、ドラマ化されたり話題を呼んだ漫画が実は彼の原作なのだ。
 その物語は映画作家を魅了してやまない。松田優作が唯一の監督作に選び(『ア・ホーマンス』)、パク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』は第57回カンヌ国際映画祭グランプリを受賞、同作はスパイク・リー監督によりハリウッドでも映画化された。
 そして先日、いましろたかしとの黄金コンビによる問題作『平成地獄ブラザーズ ハード・コア』の映画化が発表された。原作に惚(ほ)れ込んだ人気俳優・山田孝之が主演とプロデュースを務める。この機に、入手困難だった原作の新装版が刊行されている。狩撫麻礼の稀有(けう)でアナーキーな魅力に触れるチャンスだ。

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