夢で見たあの子のために [作]三部けい

2017年12月20日

幼いころ、「火の男」に家族を惨殺された高校生

 アニメ化と映画化に続き、今月からNetflixでドラマの配信も始まった大ヒット作『僕だけがいない街』の三部けい。待望の新作は、東京下町を舞台にした異色のダークサスペンスだった!
 13年前、中條千里(なかじょうセンリ)は家族を惨殺された。雨の夜、右腕に漢字の「火」のような傷跡がある男が突然家に押し入り、両親を殺害して5歳だった双子の兄・一登(カズト)を連れ去ったのだ。
 一登と千里の兄弟は“痛みを共有”する不思議な体質を持っており、一方が暴力をふるわれるともう一方も痛みを感じ、直前の映像が見える。その体質のせいで、やがて千里は一登の身に起きたことを知った。事件の手がかりがないまま月日は過ぎて千里は高校生に。幼なじみの恵南(エナン)に心配される日々を過ごす中、たまたま見たテレビ番組で腕に「火」の傷跡がある工員を目撃する――。
 衝撃的なオープニングに始まり、ストーリーは不穏でスリリングな気配に満ちている。「火の男」とは何者なのか? なぜ千里の両親を殺したのか? 一登をその場で殺さず、わざわざ連れ去った理由は? そして、印象的なタイトルは何を意味しているのか? 多くの謎と伏線が張りめぐらされ、読み始めると止まらない。前作に引けを取らない傑作になりそうだ!

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