〈私のコミック履歴書〉女優 小松菜奈

2018年02月21日

小松菜奈さん

『坂道のアポロン』1/小玉ユキ

ジャズでつながる友情

――小さいころはどんなマンガを読んでいましたか。

小松 お兄ちゃんはマンガ好きで「コロコロコミック」とかすごい読んでいて、学校ではマンガを回し読みしている友達も多かったんですけど、わたし自身はあまり読む機会がなくて……。本格的に読み出したのは仕事を始めてからだと思います。

――女優の仕事を始めてからというと、ここ3~4年?

小松 そうですね。演じるキャラクターのイメージをつかみたいので、なるべく原作は読むようにしています。わたしはマンガと実写は違うと思うし、原作ファンの期待にもこたえたいので。読んでみるとその世界に引き込まれて、そこで初めてマンガの面白さに目覚めた感じです。

――特にハマった作品はありますか。

小松 すごく引き込まれたのは『溺れるナイフ』でした。独特の空気感と、描かれている「目」がとても印象的で。読み始めると続きが気になって、一日で全巻読んでしまいました。

――なるほど。

小松 『黒崎くんの言いなりになんてならない』も面白かったですよ。ふたりの「王子」の間で揺れ動く女の子というのはまさにマンガの世界で、現実にはなかなかないことなので楽しめました。

――3月10日(土)から公開される映画『坂道のアポロン』は、読んでみてどのような感想を持ちましたか。

小松 ジャズで友情がつながるというのがオシャレだなって。この世界観が映画で出せるのか、最初は少し心配でした。これまでジャズってあまりなじみがなかったんですけど、今回の映画で触れてみて、もっと深く知りたいと思うようになりました。演奏がすごい楽しそうだし、その場のアドリブでどんどん「色」が変わっていくのが魅力的です。今度、ジャズバーとかにも行ってみたいですね。

――横須賀から転校してきた薫。幼なじみの千太郎と律子。一種の三角関係でもありますが、この3人の関係は独特ですね。

小松 そうですね。わたしが演じた律ちゃんはヒロインというより、一歩下がって薫と千太郎を見ている感じじゃないですか。映画を観(み)た人に、いい関係性だと思ってもらえる3人でいたいなって。最初は難しかったんですけど、ふたりを後ろから見ていて、いい意味で嫉妬したり、ほほえましく思ったりするのが律ちゃんなのかなって。少しずつ自然に演じられるようになっていきました。

――律子を演じる上で心がけたことは何ですか。

小松 原作の律ちゃんが持っている素朴さや元気さは大事にしたいし、みんなが安心できる律ちゃんでいたいなと思っていて。薫役の知念(侑李)くんと千太郎役の中川(大志)くんは最初からとても仲が良かったので、うまく輪に入れるか不安だったんです。でも3人で海水浴に行くシーンから自然に入っていけるようになって、佐世保で撮影を続けていくうちに、本当に自分が佐世保で生まれ育ったような気持ちになっていきました。制服を着るのは少し恥ずかしかったですけど、高校生の役を演じると当時の気持ちがよみがえってくるのも楽しいです。

――特に印象に残っている場面はどこでしょう?

小松 やっぱり、文化祭のシーンですね。ピアノの薫とドラムの千太郎がみんなの前でセッションする。台本に「涙」って書いてあったんですけど、実際にふたりの演奏を目の前にすると、ふたりがつながっていることがリアルに伝わってきて、聴いているうちに自然に涙が出てきました。

――5月に公開される『恋は雨上がりのように』では、ヒロインのあきらを演じます。

小松 はい。純粋な高校生の少女が40代のおじさんに恋をするお話で、最初は「親子ほど年が違う人との恋愛」というのにピンと来なかったんですよ。でも原作を読んでみると、あきらの気持ちがだんだんわかってきて……。大人の男性には同い年にはない優しさや魅力がある。人を好きになるのは理屈じゃないと思わせてくれる作品で、すごく新鮮でリアルに感じました。

    ◇

こまつ・なな。1996年、東京都生まれ。2014年に映画『渇き。』でデビュー。映画『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』『沈黙-サイレンス-』などに出演。3月10日から公開される『坂道のアポロン』では迎(むかえ)律子を演じる。

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