北北西に曇と往け [作]入江亜季

2018年03月22日

■氷島(アイスランド)の厳しくも美しい自然。17歳青年の探偵物語

 主人公は17歳の御山慧(みやまけい)。アイスランドで暮らすフランス人の祖父ジャックの家に居候をしながら、愛車ジムニーを駆って探偵をしている。ちょっとしたハードボイルドの滑り出しで始まる入江亜季の最新作だ。
 逃げ出した飼い犬を連れ戻したり、ひと目ぼれの相手を探し出すなど依頼は小さいが、実に小気味よく解決する。そんななか、日本にいる弟の三知嵩(みちたか)と世話になっているはずの叔父の家とも連絡がつかなくなる。探しに日本へ飛ぶが、姿はなく、叔父の家が売りに出されていた。叔父は、亡くなっていたのだ……!?
 アイスランドという北緯64度の北の地の厳しくも雄大で美しい自然を背景に、慧の前に幾度も現れる謎の北欧美女の存在や、愛車や鳥と会話できる不思議な能力を持った慧や祖父などが、入江亜季のかろやかな線で描かれる。まるで、アイスランドの魅力そのものとシンクロしているかと思えるぐらいだ。
 前作の魔法使いの女の子の成長物語を描いた『乱と灰色の世界』でも、空や雲、鳥の行く光景が印象的で、主人公の相手役もなかなかイケメンで多くの読者を魅了したようだが、今回はそこに弟の三知嵩の抱える秘密の存在が加わり、目が離せない。

    ◇

「ハルタ」連載中

関連記事

ページトップへ戻る