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ピアニスト青柳いづみこの音楽書評

ピアニスト青柳いづみこの音楽書評

 優れたクラシック演奏家は、作者はもとより作品の背景を徹底的に調べ、曲想を練るという。違いが出るのは資質や技術だけでなく、幅広い素養かもしれない。ピアニストの青柳いづみこさんはドビュッシー研究家で、吉田秀和賞や講談社エッセイスト賞などをものした文筆家。小説も書く。そんな青柳さんの書評には、深い教養に裏付けられた薀蓄とユーモアが満載。〝読む音楽の世界〟を旅してみませんか。

マリア・カラス (新装版)

■不世出のプリマの「黒いロマン主義」

 もし森進一が、奥さんの森昌子のような澄んだ声で歌えといわれたら。もし美空ひばりが、ドスのきいた低音部、鼻にかかる中音部、きれいなファルセットと三種類の声を持っていることを非難されたら——。 ね、ありえないでしょ。ギリシャの生んだ不世出のオペラ歌手マリア・カラスは、まさにその点で…もっと読む

マリア・カラス (新装版)

著者:ユルゲン・ケスティング、鳴海史生  出版社:アルファベータ 価格:¥2,940

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ラヴェル

■「精緻な書法」詩的に読み解く

 クラスに一人はいないだろうか。痩(や)せっぽちで頭でっかちで、手先の器用な男の子。彼のつくる模型の精巧さは驚くべきものだが、ほめるとプイと横を向いてしまう。 ラヴェルの音楽の精緻(せいち)さは、内面の真実を隠す仮面だ、とジャンケレヴィッチは言う。「ラヴェルの音楽が自己表出に乏し…もっと読む

ラヴェル

著者:ヴラディミール・ジャンケレヴィッチ、福田達夫  出版社:白水社 価格:¥2,730

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ミケランジェリ ある天才との綱渡り

■魔術めいた大ピアニストの真実

  ドイツの指揮者、カルロス・クライバーが亡くなった。キャンセル魔、インタビュー嫌い、生きているときから伝説。実は、そっくりそのままイタリアのピアニスト、ベネデッティ・ミケランジェリ(一九二〇〜九五)に当てはまる。 彼のステージは、それ自体が魔術めいていた。黒ずくめの服に黒のハン…もっと読む

ミケランジェリ ある天才との綱渡り

著者:コード・ガーベン、蔵原順子  出版社:アルファベータ 価格:¥2,940

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モーツァルトの音符たち 池辺晋一郎の「新モーツァルト考」

■「天才の魔法」鮮やかに謎解き

 この本、最高! 楽譜の読める人も読めない人も、是非読んでほしい。——と書き出してはみたものの、実際問題として、全体の三分の一を占める譜例を見ただけで、オタマジャクシに弱い人はしりごみしてしまうかもしれない。CDがついていたらよかったのに、という声もあがった。 それでも、本書は画…もっと読む

モーツァルトの音符たち 池辺晋一郎の「新モーツァルト考」

著者:池辺晋一郎  出版社:音楽之友社 価格:¥1,890

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リヒテルは語る 人とピアノ、芸術と夢

■ピアニストの「意識の流れ」を言語化

 この本を読んでいると、ロシアの名ピアニスト、リヒテル(一九一五〜九七)がドストエフスキーの小説の主人公のように思えてくる。若いころリヒテルのもとを訪れた著者は、いきなりピアノに襲いかかって不協和音を鳴らしたり、シューベルトを神のように弾いたり、かと思えば、音楽がもたらす幻視につ…もっと読む

リヒテルは語る 人とピアノ、芸術と夢

著者:ユーリー・ボリソフ、宮澤淳一  出版社:音楽之友社 価格:¥2,730

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グレン・グールド論

■なぜ「演奏のマニエリスム」に向かったのか

 グールド書を多く訳している著者による初の評論。 バッハ「ゴルトベルク変奏曲」の録音の比較が面白い。54年収録の「主情的」なライヴ録音。翌年のデビュー盤の「超越的」演奏。死の前年に再録音された「超・超越的」演奏。 この間グールドは、内的カンタービレを削(そ)ぎ落とし、「触感の慶(…もっと読む

グレン・グールド論

著者:宮沢淳一  出版社:春秋社 価格:¥4,200

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音楽の神童たち 上

■「神との対話」伝える稀有の存在

 十八世紀のモーツァルトから現代のヨーヨー・マまで、約四十名の音楽家の神童時代を綴(つづ)った書。父親に反対されながらチェロの勉強を始めたカザルス。ヴァイオリン教師の父親に手ほどきを受けたハイフェッツ。母親からピアニストへの夢を託されたクライバーン。とくに注釈を加えることもなく、…もっと読む

音楽の神童たち 上

著者:クロード・ケネソン、渡辺和  出版社:音楽之友社 価格:¥2,520

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楽器と身体 市民社会における女性の音楽活動

■音大ピアノ科に女子学生が多いわけ

  一七五〇年から一八五〇年にかけて、オーストリアやドイツの市民階級における女性音楽家の活動とその受け入れ状況を、豊富な資料で検証した本である。 アンネ・ゾフィー・ムター、五島みどり、チョン・キョンファ、庄司紗矢香。世界で活躍する女性ヴァイオリニストの名前はすぐ浮かんでくる。オー…もっと読む

楽器と身体 市民社会における女性の音楽活動

著者:フライア・ホフマン、阪井葉子、玉川裕子  出版社:春秋社 価格:¥5,250

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バレンボイム/サイード 音楽と社会

■「相反」を認めつつ「相似」深める

  エルサレム生まれのパレスチナ人と、十歳でイスラエルに移住したユダヤ人といえば、一般的には不倶戴天(ふぐたいてん)の敵同士という構図だろう。しかし、哲学者サイードと音楽家バレンボイムは一九九〇年代に出会って以来、急速に親交を深め、音楽と政治、文化についての対話を重ねてきた。その…もっと読む

バレンボイム/サイード 音楽と社会

著者:ダニエル・バレンボイム、エドワード・サイード、中野真紀子  出版社:みすず書房 価格:¥2,940

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パリのヴィルトゥオーゾたち リストとショパンの時代

■大作曲家のレッスン現場からリポート

 ショパン一八一〇年生まれ、リスト一一年生まれ。二人とも細身でイケメン。こんなスター作曲家がそろうなんて、音楽史上でも珍しいのではないかしら? 二人の同時代人で、ロシアの音楽愛好家による回顧録である。一八二八年にパリを訪れた著者のレンツは、なんとリストから直々にピアノを教えてもら…もっと読む

パリのヴィルトゥオーゾたち リストとショパンの時代

著者:ヴィルヘルム・フォン・レンツ、中野真帆子  出版社:ハンナ 価格:¥1,995

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伝記 クロード・ドビュッシー

■徹底した考証で明らかになる人物像

 二〇〇一年に七十八歳で没した著者は、長らくパリ国立図書館の音楽館長をつとめ、書簡集や評論集の編纂(へんさん)、作品全集の監修にあたるなど、ドビュッシー資料研究の第一人者だった。 邦題では除かれた「考証による」という副題が、本書の内容をよく物語っている。作曲家が残した膨大な書簡を…もっと読む

伝記 クロード・ドビュッシー

著者:フランソワ・ルシュール、笠羽映子  出版社:音楽之友社 価格:¥5,985

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我、汝に為すべきことを教えん 作曲家が霊感を得るとき

■ブラームスらが語った創造の秘密

 あのブラームスの肉声が聞こえてくる——。大作曲家たちへのインタビューをまとめた本書は、作曲中に得られる「霊感」に焦点を当て、創造の秘密について貴重な証言をひき出している。 著者は、米音楽雑誌の欧州特派員。取材は十九世紀末から二十世紀初頭にかけて行われたが、死の四カ月前に訪問した…もっと読む

我、汝に為すべきことを教えん 作曲家が霊感を得るとき

著者:アーサー・M・アーベル、吉田幸弘  出版社:春秋社 価格:¥2,940

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