トットちゃんが語る「生と死」

[掲載]2012年01月16日

くろやなぎ・てつこ 東京音大声楽科卒。NHK放送劇団に入り、テレビ女優第1号に。文学座演劇研究所、ニューヨークのメリー・ターサイ演劇学校を経て、舞台、テレビで活躍。自伝『窓ぎわのトットちゃん』が大ベストセラーに。長寿番組「徹子の部屋」は36年目を迎えた。 拡大画像を見る
くろやなぎ・てつこ 東京音大声楽科卒。NHK放送劇団に入り、テレビ女優第1号に。文学座演劇研究所、ニューヨークのメリー・ターサイ演劇学校を経て、舞台、テレビで活躍。自伝『窓ぎわのトットちゃん』が大ベストセラーに。長寿番組「徹子の部屋」は36年目を迎えた。

表紙画像 著者:---  出版社:朝日新聞出版

 悔いなき最期を考えるための週刊朝日MOOK『だから死ぬのは怖くない』(朝日新聞出版)から、女優の黒柳徹子さんが「生と死」について語ったインタビューの一部をご紹介します。

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■死ぬまで病気しない方法を伺ったら、「好きなことだけやって生きなさい」って

 NHKの時代、一度倒れたことがあるんです。仕事を始めて5年目に。忙しいと、もう寝る時間を削るしかなくて。そしたら、すごいですね、人間って。だんだん耳がよく聞こえなくなってきて、セリフやなんかの合間に上野駅やなんかみたいな雑音がするんですよ。ざわざわ、ざわざわ。病院に行ったら院長先生が「過労だよ! このままじゃ死んじゃうよ。仕事、全部断りなさい」って。
 それで全部やめて病院に入りました。そうしたら、自分が必死になって出ていたテレビ番組の司会に全然しらない人が出て、「はい、こんにちは」なんて。
 1カ月後に退院するとき、「先生、私死ぬまで病気したくないんですけど。どうすればいいんですか」って伺ったら、「好きなことだけやって生きていきなさい」っておっしゃったんです。「え、好きなことだけやって生きていくっていってもお金ないし」って答えたら、先生が「誰が遊んでなさいって言いましたか。自分が進んでやる仕事を選べば、疲れても寝れば肉体は治る。でも、嫌な仕事なら、嫌だなって思いが残ってよくない。それで病気になると僕は思う」とおっしゃったんです。ストレスという言葉がまだない時代にです。
 それで、マネジャーと相談して、とにかくちゃんと寝られる生活にして、やだなって思ったり、いじめられるような人がいるところには、できるだけ出ないようにしました。いろいろと自分で選んで。選んだ以上は一生懸命やるんですけれど。それから50年ぐらいになりますが、一回も自分の都合で休んだことはないです。

■父さんと母さんの骨を海に撒いたら しゅるるるるって海の底に落ちていった

 自分のお葬式のイメージなんて、そんなのないです。だって、行き倒れて死んでもいいと思っているんですから。自分のお葬式をやるときに、花はこれでとか、音楽はなにでとか、おっしゃる方がいるけれど、私はそういうものは全然考えていないです。ただ、死んだときに私のお弔いをしようとしてくださる方がいらしたら、ユニセフに寄付してくださるとか、または私がやっている耳の聞こえない聾唖(ろうあ)者の劇団のための、トット基金っていうんですけれど、そういうところにちょっと寄付してくださるだけでいいなと。お花をくださるお金でね。
 私、沢村貞子さんのことを母さんって呼んでいたんですが、沢村さんに、「死んだら、父さん(旦那さま)と一緒に骨を相模湾に撒(ま)いてほしい」と頼まれていたんです。それで、沢村さんの甥の津川雅彦さんと一緒に骨を細かくして出かけました。
 母さんは夕暮れどきがいいと言っていたから、そのころ、お花をたくさん海に散らして、薔薇のつぼみがけっこう海に浮いていて、ボール紙の筒みたいなものがついてる船べりから海の中へ入れたんですけれど、人間の骨ってものすごく重いんですね。ひとつが芥子(けし)粒ぐらいでしょう。それが暗い海の中に父さんと母さんの骨がしゅるるるるって入っていくの。そのとき私、本当に驚いたんです。人間って不思議だなって思った。こんなに骨が重いって知らなかったから。浮かんだりしないの。もっと大きい花は浮いてるのに。しゅーって暗い海の底のほうへ落ちていく。

■天国とかは嫌なことや争いごとがない そう思うと、死ぬのも怖くない

 キリスト教では天国があると言っていますけれども、それはどうでしょうね。でも死んだときに誰かに会えるだろうとは思っています。その人がどういう格好をしているかは別としても。風みたいになっててもなんでもいいんですが、なにかこの人だろうとわかって会える気がします。
 ただ、会うときにどれくらいそこが混んでいるのかなとかね。でも、なんかそこは広々したところで、知っている人がそこで待っててくれたりして、わかるようになっているんだろうなと思うんですよね。
 ごったがえしてはいないと思います。そこんとこ丹波哲郎さんに聞いたんですけれど、あんまりはっきりしなかった。でも、そういうふうに思っているので、天国とか黄泉の国とかそういうのはわからないけど、なんかわからないところで、自分が生きていたときの会いたい人と会うだろう、と。そこはもう、いろんな嫌なことがなく、争いごともなく。
 ね、そうだろうとお思いになりません? そう思うと、死ぬのも、まあそんなに怖くない。そういうのを体験してみるのも一生に一度のことなので、おもしろいんじゃないかなと思いますよね。初めての体験! そんなぐらいに思っているから、死ぬことを、あんまりクヨクヨと考えたことはないです。

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インタビューの全文は、週刊朝日MOOK『だから死ぬのは怖くない』でお読みください。

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