小久保英一郎さんが選ぶ 宇宙本ベスト5

[文]小久保英一郎(国立天文台理論研究部教授)  [掲載]2012年08月16日

表紙画像 著者:フィリス・モリソン、フィリップ・モリソン、チャールズおよびレイ・イームズ事務所、村上 陽一郎、村上 公子  出版社:日本経済新聞出版社

(1)コスモス 上・下 [著]カール・セーガン [訳]木村繁
(2)パワーズ オブ テン [著]フィリップ・モリソンほか [訳]村上陽一郎、村上公子
(3)世界でいちばん美しい物語 [著]ユベール・リーヴズほか [訳]木村恵一
(4)重力と力学的世界 [著]山本義隆
(5)宇宙のひみつ 学研まんが ひみつシリーズ [構成]山梨賢一 [漫画]津原義明

■“宇宙の子”を映像と本で実感する

 中学生か高校生のころ、宇宙から素粒子まで視野の広さを変えながら連続的に世界を映像化している作品を見て衝撃を受けた。『パワーズ オブ テン』である。ものごとを理解するのには、一歩引いて全体を俯瞰することが大切だと思っているが、この映画を見て、世界の基本的な成り立ちが初めて少しわかったような気がして、感動したことを覚えている。この映画は同名の本にもなっている。ページをめくるごとに視野が10分の1ずつ小さくなり、詳しい解説とともに、自然界の階層構造が描かれている。映画のDVDもあるのであわせて楽しめる。
 実はこの画期的な世界の見せ方には原典があって、それは『COSMIC VIEW』という今から50年以上前の絵本である。機会があればこちらもぜひ見てもらいたい。
 やはり同じころ見た映像にテレビの科学番組『コスモス』があった。『コスモス』では宇宙の構造と起源と進化、生命の起源と進化、太陽系の探査、地球外生命の探査、地球の未来などについてわかりやすく解説されている。そこで初めて宇宙の歴史を知り、それは地球、生命、そして私たちに繋がっていて、私たちが文字通り星くずからできている宇宙の子であるということを知った。莫大な宇宙の空間と時間の中で、自分の立ち位置が少しわかったような気がしてうれしく思った。
 宇宙の構造と起源と進化について、最近の本では『世界でいちばん美しい物語』が対話形式でわかりやすくお薦め。宇宙だけでなく、そこから生命、人類の歴史が連続した一つの美しい物語として語られる。「私たちは何者なのか、どこから来てどこへ行こうとしているのか」について現在の基本的な理解がわかりやすくまとめられている。
 これらの本を読んだら、山や海など天の川が見えるような暗い空で満天の星を眺めてみたい。星の輝きがいつもと違って見えるかもしれない。

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週刊朝日 2012年8月17-24日合併号掲載

この記事に関する関連書籍

パワーズ オブ テン―宇宙・人間・素粒子をめぐる大きさの旅

著者:フィリス・モリソン、フィリップ・モリソン、チャールズおよびレイ・イームズ事務所、村上 陽一郎、村上 公子/ 出版社:日本経済新聞出版社/ 発売時期: 1983年10月


世界でいちばん美しい物語―宇宙と生命と人類の誕生 (ちくま文庫)

著者:ユベール リーヴズ、イヴ コパンス、ジョエル・ド ロネー、ドミニク シモネ、Hubert Reeves、Yves Coppens、Jo¨el de Rosnay、Dominique Simonnet、木村 恵一/ 出版社:筑摩書房/ 発売時期: 2006年01月



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