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平均年齢93歳 ぎんさん4人娘の超元気生活

[掲載]2013年01月07日

五女・美根代さんが運転する車でドライブを楽しむ4姉妹。月に一度、岐阜県のお寺までのドライブを楽しみにしている。次回は、そのお寺の紅葉を見に行くという 拡大画像を見る
五女・美根代さんが運転する車でドライブを楽しむ4姉妹。月に一度、岐阜県のお寺までのドライブを楽しみにしている。次回は、そのお寺の紅葉を見に行くという

朝日新聞を熟読する三女・千多代さん(94)。1面から政治面、社会面まで隅々に目を通す。「広告も読むでよ。いろんな情報が書いてあるから。こんな商品があるのかと思って、タメになるで」 拡大画像を見る
朝日新聞を熟読する三女・千多代さん(94)。1面から政治面、社会面まで隅々に目を通す。「広告も読むでよ。いろんな情報が書いてあるから。こんな商品があるのかと思って、タメになるで」

書道が趣味だったぎんさんが、108歳のときに書いた「生」という書。掛け軸となり、蟹江家の床の間に飾られている 拡大画像を見る
書道が趣味だったぎんさんが、108歳のときに書いた「生」という書。掛け軸となり、蟹江家の床の間に飾られている

表紙画像 著者:朝日新聞出版  出版社:朝日新聞出版 価格:¥ 864

 日本中を席巻した、長寿双子姉妹・きんさん、ぎんさんブームから20年──
 名古屋市内に住む、双子の妹・蟹江ぎんさんの4人の娘が注目を集めている。姉妹の平均年齢93歳。ボケや寝たきりのピンチも吹き飛ばし、明るく老後を過ごす4姉妹の毎日には、すこやかにしなやかに長く生きる知恵が詰まっている。そんな生活が、週刊朝日MOOK『名医が指南する! 寝たきりにならないための本』で紹介されている。

■いつもみんなで笑ってるのが一番だがね

 ぎんさんの娘4姉妹の会話には笑いが絶えない。マスコミの脚光を浴びてから、週に3回は顔を合わせているという。五女・美根代さん(89)は笑みを浮かべながら、こう話す。
 「みなさんに長寿のひけつとか、よく聞かっせるけど、特にないんだわ(笑い)。みんなでお茶を飲みながら、昔話や世間話をしとるのが、一番の健康法だがね(笑い)」
 そんな元気な4姉妹にも、10年ほど前に「ピンチ」があった。  
 当時、一人暮らしだった長女・年子さん(98)に認知症の症状が表れたのだ。美根代さんの提案で、年子さんを、蟹江家の近所に住む三女・千多代さん(94)と同居させた。千多代さんは当時をこう振り返る。
「(年子)姉さんと話していても、全然会話が通じんかった。だけど、粘り強く話をしてあげたら、ボケが治ってまったがね」
 年子さんは、同居してから認知症の症状が劇的に回復したという。
 「あのときは、包丁を持つのも怖かったんだわ。リンゴもむけえせんかった。だけど、今ではスルスルむけるでよ」(年子さん)
 お願いしたら、上手にリンゴの皮をむいてくれた。皮も途中で切れることなく、一本につながっている、見事な包丁さばきだ。
 年子さんが2012年に一番うれしかった出来事は、8月に4姉妹が参加した中日ドラゴンズの試合の始球式だ。
 「野球のボールなんて触ったことなかったから、練習したんだわ。本番で投げたら、よう飛んだよ。(中日・高木守道)監督さんもびっくりしとった(笑い)。ほら、肩も上がるでしょう?」(年子さん)
 肩をぐるぐる回しながら、始球式を振り返る年子さん。始球式で使った、年齢と同じ背番号「98」のユニホームは宝物だという。
 千多代さんは、毎朝、新聞を熟読することを日課としている。
 「昔から朝日新聞を取っとるんだわ。家事の合間に、隅々まで目を通しとる。政治の記事は特に読んどる。あたしは戦後復興をやって、意志が強かった吉田茂(元首相)が好きだった。今は、ああいう政治家はおらんなあ。政治家もそうだけど、国民もまあちょっと、しっかりせなあかん!」
 千多代さんは、強い男が好きだ。NHKの大河ドラマ「平清盛」を毎週欠かさずに見ている。
 「清盛さんも強い男だがね。下から、のし上がっていったところに魅力があるで。(地元の英雄である)織田信長も好き。やっぱり男は強くないといかんわ。自分が思っとることをちゃんとやっとるもん。今の政治家も見習わなあかんでよ」

■お化けと言われるぐらい長生きしたい

 四女の百合子さん(91)は、園芸が趣味だ。
 「もともと蟹江の家は農家だで、私も土いじりが好きなんだわ。自分の家の庭で菊を育てとるよ」
 百合子さんは、蟹江家から徒歩3分のところに住む。自宅の庭には、菊の鉢植えが20鉢以上もある。
 「近くのお店まで自転車で苗を買いに行くのぉ。最近は、危ないから自転車に乗るなと言われとるけど、こっそり乗って買い物に行っとる(笑い)。菊はちゃんと育てんと花が咲かん。毎日、水やりをして、ちゃんと面倒みとるよ。ほれ、奇麗に咲いとるでしょう? 今度、だんなのお墓参りに行くときに、この菊を供えるんだわ」
 百合子さんは料理も得意だ。毎朝、赤だしのみそ汁を作っている。
 「うちのみそ汁は具だくさんだでね! どえりゃ~うまいよ」。手際よく長ネギを刻んでいく。油揚げや豆腐、ワカメ、タマネギ、長ネギ……、確かにとても具が多い。
「毎日、これを食べているから長生きできるのかもしれんね」と、百合子さんはちゃめっ気たっぷりに笑った。
 五女・美根代さんには、多彩な趣味がある。茶道と華道は師範の免許を持っている。今、熱中しているのは約10年前に習い始めた和紙を使った貼り絵だ。
 「一日4~5時間ぐらい作業しとるね。雨の日は一日中やっとるよ。疲れないかって? 好きなことだから、全然、疲れえへんわ」
 話しながら、淡々と作業を進めていく。今、制作しているのは、「彼岸花」をテーマにした作品だ。型紙に合わせて、和紙を上手に切り取りながら、台紙に貼り付ける。
 「和紙を重ねて貼っていくから、立体的に見えるでしょ? 鳥を作るときは、ちゃんと羽に見えるように、和紙をケバケバにしたるんだわ」
 そう言って見せてくれたのはスズメをモチーフにした作品。茶色の和紙で、スズメの羽を見事に表現した。実に繊細な仕上がりだ。
 日が傾きかけたころ、4姉妹が子どものころに遊んだ天白(てんぱく)川に連れていってもらった。夕日を眺めながら、昔話に花が咲く。
 「海に近いから、貝殻が落ちとった。それを拾って、みんなでおままごとをしたんだわ。草を取って、ごっそー(ごちそう)をいっぱい作ったよ」(三女・千多代さん)
 「戦争が終わったときには、食べ物がなかったから河川敷に生えとる草を雑炊に入れて食べたよ。うまかったわ」(四女・百合子さん)
 大正、昭和、平成を生き抜いてきた4姉妹。今後の目標は、「お化けと言われるぐらい長生きすること」だそう。どうか、いつまでもお元気でいてください。

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