三島由紀夫 偏愛ライブラリー その1

 厳しい読み手でもあった、三島由紀夫が傑作や名著と認めた作品を紹介。

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

遠野物語―付・遠野物語拾遺 (角川ソフィア文庫) 著者:柳田 国男 出版社:角川学芸出版

「ここに小説があった」 1行に宿る言葉の力

 岩手県遠野地方に伝わる昔話を集めた民話集。日本の民俗学の先駆けによるバイブル的存在だが、三島はここに「小説」を見つけた。「柳田氏の聴書が、かくもみごとな小説たり得ているのは、氏の言語表現力の一種魔的な強さ、その凝縮力、平たくいえば文章の力のために他ならない」。

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神州纐纈城 (河出文庫)

神州纐纈城 (河出文庫) 著者:国枝 史郎 出版社:河出書房新社

知ることは破滅への道 神秘と恐怖を味わう冒険活劇

 武田信玄の家来土屋庄三郎が行方不明の父母と叔父を捜す旅でたどり着いたのは、本栖湖の霧の中にある城。その地下には、捕らえた人の血を絞って染めた布=纐纈を生産する秘密の工場があった。「疑いようのない傑作」と三島も絶賛。宇治拾遺物語や風土記を引き、気品漂う未完の大作。

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マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫) 著者:バタイユ、中条 省平 出版社:光文社

汚れと聖性 息づまるような迫力

 娼婦エドワルダに神を見つけるという衝撃作。汚れた者に神が宿るというテーマは西洋だけのものではないが、バタイユはキリスト教的善悪の考え方にエロティシズムを利用した。必要なのは「陶酔」と「苦痛」だ。「息づまるような迫力」で、三島に鮮烈な読後感を与えた名作。

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楢山節考 新潮CD

楢山節考 新潮CD 著者:深沢 七郎、小沢 昭一 出版社:新潮社

姥捨ての風習描ききった、感動的だが「不快な傑作」

1956年、第1回中央公論新人賞受賞作。いくつもの文学賞の選考委員だった三島だが、「生原稿で読んで慄然たる思いのした」のは「楢山節考」ただ一度という。「姥捨て」という貧村の掟を現代によみがえらせた傑作。だが、それは「『悲劇』が軽蔑され、理性も情念も二つながら無意味にされ」る「不快な傑作であった」

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幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫) 著者:クラーク、池田 真紀子 出版社:光文社

人間存在の根底を突き崩すSFの傑作

地球に謎の宇宙船が現れる。異星人の「君主」は姿をみせないまま、伝統的な文化や宗教などを破壊し、平和な世界を構築して地球を支配する。その君主の姿とは……。宗教的かつ哲学的な主題を含みながら知的に構築されたこのSF小説も、また、三島にとっては「不快な傑作」であった。「悪魔の芸術」と呼んでいる。

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家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫)

家畜人ヤプー〈第1巻〉 (幻冬舎アウトロー文庫) 著者:沼 正三 出版社:幻冬舎

マゾヒズムを極度に推し進めた壮大な構築性の世界

日本人が家畜として扱われている未来を描き、戦後の「奇書」といわれた。覆面作家によるこの壮大な世界の創出を、三島は「マゾヒズムという一つの倒錯が、自由意志と想像力によって極度に推し進められ」た徹底的実験が試みられたと位置づけた。サドの「ソドム百二十日」と比較したくなるのは三島だけではない。

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