HOME> 特集の本棚> 三島由紀夫 偏愛ライブラリー その2
三島由紀夫の文体に影響を与えた作家とその作品を紹介します。
小説家・三島の基礎となった若き天才作家の遺作
ジャン・コクトーに愛され、二十歳で死んだ早熟の天才作家ラディゲ。その「遺作」であり、フランスの古典を換骨奪胎した心理小説だ。三島は少年時代に読んで、「クライマックスの極度の強め方を学んだ」。徐々に葛藤が募っていきクライマックスに至るという三島作品の構成の基礎はここから芽生えた。
階級闘争から人間の一生を描いた長編小説
19世紀前半のフランスを舞台に、貧しい美青年ジュリアン・ソレルが、愛に翻弄されながらも、のし上がっていく物語。ナポレオン派の著者が、王政復古の階級社会への批判を込めた。三島はスタンダールの翻訳から多くの示唆を受けたが、「その精妙な軽さは模倣するすべもなく」ともらしている。
ドイツ語そのものの重さから来る文体
第一次大戦直前、スイス・アルプスの高原にあるサナトリウムで、結核の療養をすることになったハンスは、病と死が支配する「魔の山」でさまざまな人物に出会い成長してゆく。ドイツ教養主義を代表する作品。ドイツ語そのものの重さから来る文体が三島を魅了した。名作「金閣寺」は鷗外とトオマス・マンの影響を受けているという。
三島が模写をした「清澄な知的文体」
明治時代、ドイツに留学した日本の官僚と美しい踊り子エリスとの悲恋を描いた鷗外の初期の代表作。三島は、鷗外の文体模写によって自己改造しようと試みたという。「重い文体と鷗外への傾倒は、徐々に私の中の不要な部分、一例が機知の見せびらかし、のようなものを殺してくれた」
少年期の感受性に影響を与えた作家
八ケ岳のサナトリウムを舞台に、死が忍び寄る不安の中、日々を生きる婚約者たちを描いた小説。題名はポール・ヴァレリーの詩の一節「風立ちぬ、いざ生きめやも」から。三島が少年時代に、感性的に影響を受けたという堀辰雄の代表作。
三島が溺れた華麗で濃厚な日本語の集積
世紀末デカダンス文学を日本に導入した詩人日夏耿之介(ひなつ・こうのすけ、1890-1971)。ポー「大鴉」やワイルド「サロメ」を日夏訳で読んだ若き三島は、その華麗なる日本語の表現に夢中になった。戦争中、遺書代わりに書いたという「中世」にはその影響がみてとれる。
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