ジョブズが読んだ本2

 前回の特集「ジョブズが読んだ本」は、大きな反響を呼びました。ただ伝記の中に出てくるものには、特集での紹介がためらわれた本もありました。ジョブズが青春時代を過ごした60年代〜70年代のアメリカ西海岸は、カウンターカルチャーやニューエイジ運動が最盛期を迎えており、伝記の中に出てくる本にもそれが色濃く反映されています。その中には、違法薬物や反社会的な社会・宗教運動につながったりするなど、現在のわれわれから見ると、問題含みの思想も含まれています(伝記でも、ジョブズの極端な菜食主義が、最初の療養休暇後の回復を遅らせたのではないか、という疑念が、登場人物の口から何度か示唆されています)。
 そうした問題をはらみながらも、あらゆる可能性が模索され、試された時代の空気が、ジョブズやジョブズの生み出した製品の土壌となっていることは確かです。この「ジョブズが読んだ本 2」ではそんな「時代の証人」としての書籍も収録し、ジョブズが愛聴したミュージシャンの伝記などとともに紹介します。

みんなのしおりプロジェクト」スタ-ト!第一弾は『スティ-ブ・ジョブズ』(http://minnanoshiori.jp/)

宇宙意識

宇宙意識 著者:リチャード・モーリス バック、Richard Maurice Bucke、尾本 憲昭 出版社:ナチュラルスピリット

個を超えた意識とは?

 カナダ人の精神医学者が自らや他の同時代人、そして過去の著名人の神秘体験を、個を超えた宇宙意識への覚醒として描いたこの分野の古典。1901年刊。ブッダ、イエス、パウロ、ダンテなどが登場する。

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クール・クールLSD交感テスト

クール・クールLSD交感テスト 著者:トム・ウルフ、飯田 隆昭 出版社:太陽社

ニュージャーナリズムの旗手によるヒッピー体験

 ニュー・ジャーナリズムの主唱者として名高いトム・ウルフの著作の一つ。ニュー・ジャーナリズムとは、1960年代のアメリカに始まる、取材対象との間に濃密な関係を築き、フィクションの手法を使ってノンフィクションを描くジャーナリズムの手法。トム・ウルフの作品には他に映画にもなった『虚栄の篝火』『ライトスタッフ』などがある。

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ボブ・ディラン自伝

ボブ・ディラン自伝 著者:ボブ・ディラン、菅野 ヘッケル 出版社:SBクリエイティブ

「人間」ディランの肖像

 ジョブズが最も敬愛したアーチスト、ボブ・ディランの自伝。デビュー前からスターダムに登り詰めるまで、そして表舞台から遠ざかった隠棲から復帰し、再び脚光を浴びるまで、「人間」としてのディランの苦闘や苦悶をありのままに描き、米国でベストセラーになった。

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グレン・グールド―未来のピアニスト

グレン・グールド―未来のピアニスト 著者:青柳 いづみこ 出版社:筑摩書房

ピアニストによるグールド論

 グレン・グールドの「ゴルトベルク変奏曲」はジョブズが伝記の中で自ら好きな曲として紹介している楽曲。本書は自らもピアニストでありエッセイストでもあり、音楽評論家である著者ならではの視点で、すでに語り尽くされた感のあるグールドに新しい光をあて、注目された評論。グールドの演奏や解釈は、未来の音楽を先取りしていた、という分析が斬新。

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ここではないどこかへ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

ここではないどこかへ〈上〉 (ハヤカワ文庫NV) 著者:モナ シンプソン、Mona Simpson、斎藤 英治 出版社:早川書房

ジョブズの妹による小説

 伝記では、生後すぐに養子に出されたジョブズの「ルーツ探し」も一つのテーマとなっている。ジョブズは1986年、アップルを追放され、義母が亡くなったのを機に生母を探し当て、自分に妹がいたことを知る。当時作家の卵だったモナ・シンプソンである。互いに共通点の多い兄妹はすぐに親しくなり、ジョブズの死後彼女が発表した追悼の言葉は広く話題となった。本書は現在は著名な小説家であり大学教授でもある彼女が、母をモデルとした書いた小説。

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インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice)

インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice) 著者:ジョナサン・ジットレイン、井口耕二 出版社:早川書房

アップルの「垂直統合」モデルへの批判

 オープンで自由なインターネットが、さまざまなアイデアや技術のゆりかごとなり、社会は確実に豊かになった。しかしその反面、ネットを悪用した詐欺やウイルスも蔓延し、アップルやマイクロソフトが提供する安全ではあるが自由度は低い、「消毒された」環境へのニーズも高まりつつある。ネットの発展が生み出したこの背理をわれわれはどう乗り越えるべきなのか? ジョブズ伝記でも言及されたサイバー法学者のネット社会論。

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一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫) 著者:ジョージ・オーウェル、高橋和久 出版社:早川書房

超管理社会の悪夢

 アップルが1984年のスーパーボールで放映したマッキントッシュのCMは、広告史に残る名作として名高い。後に映画監督として著名になるリドリー・スコット監督が制作したもので、未来の管理社会を思わせる暗いホールを駆け抜けた女性アスリートが、独裁者の演説を映し出すテレビモニターを破壊する、というもの。このCMにインスピレーションを与えたのが本作。スペイン内戦を義勇軍として戦ったオーウェルが、共産主義者との接触の経験を元に書いたディストピア小説。

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ヘンリー五世 (白水Uブックス (19))

ヘンリー五世 (白水Uブックス (19)) 著者:ウィリアム・シェイクスピア、小田島 雄志 出版社:白水社

イギリスの黄金時代

 百年戦争末期のイギリスを描いた史劇。前作『ヘンリー四世』では放蕩息子ったヘンリー五世は戦いを経て成長、フランス王位をめぐってフランスとの戦いに身を投じる。戦争に勝利し、フランス王の娘をめとったヘンリー五世は、イングランド・フランス連合王国を現出せしめるーー。イギリスの黄金時代を描き、イギリス国内では非常に人気の高い一作。

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食糧第一―食糧危機神話の虚構性を衝く

食糧第一―食糧危機神話の虚構性を衝く 著者:フランシス・ムア・ラッペ、ジョセフ・コリンズ、Frances Moore Lappe、Joseph Collins、鶴見 宗之介 出版社:三一書房

ジョブズを菜食主義者にしたベストセラー著者による食糧問題論

 フランシス・ムア・ラッペは『小さな惑星の緑の食卓』(邦訳は1982年講談社刊)で食糧問題解決のための菜食主義を主張した。ジョブズは大学一年のときに、ミリオンセラーとなった同書を読み、食事法への関心を高めたという。本書は食糧問題の原因をさらに深く分析した、同著者による評論。

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心の迷妄を断つ智慧―チベット密教の真髄

心の迷妄を断つ智慧―チベット密教の真髄 著者:チュギャム トゥルンパ、Ch¨ogyam Trugpa、宮坂 宥洪 出版社:春秋社

チベット仏教僧侶による密教ガイド

 チョギャム・トゥルンパはチベット仏教の僧侶。ジョブズは大学時代にトゥルンパの『タントラへの道ーー精神の物質主義を断ち切って』(邦訳はめるくまーる。1981年刊)を読んで仏教への関心を持つようになった。本書は同著者による密教の解説書。

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