ブック・アサヒ・コム 文庫ベスト10

 「ブック・アサヒ・コム」文庫ベスト10を発表します。2011年にブックマ(お気に入り登録)された数やレビュー数、売り上げ数などにもとづくランキングで、10作品それぞれに寄せられた読者レビューを紹介します。

 今年の文庫第1位は有川浩さんの『阪急電車』でした。
 有川さんは「いつも『私はこういうことが面白いと思うんだけど、どうかなぁ』と物語を発信しています。周波数が合った人が受け取って楽しんでくださればそれでいいと思っています。周波数を合わせてくださる方がたくさんいてくださることが本当に嬉しいです。願わくばこれからも楽しいことを共有できますように」と話しています。

 【ベスト10の書名、著者、出版社】

 1位 阪急電車 有川浩 幻冬舎
 2位 わたしを離さないで カズオ・イシグロ 土屋政雄[訳]、早川書房
 3位 神様のカルテ 夏川草介 小学館
 4位 のぼうの城 和田竜 小学館
 5位 永遠の0 百田尚樹 講談社
 6位 告白 湊かなえ 双葉社
 7位 陽だまりの彼女 越谷オサム 新潮社
 8位 プリンセス・トヨトミ 万城目学 文芸春秋
 9位 猫鳴り 沼田まほかる 双葉社
10位 ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち 三上延 アスキー・メディアワークス

阪急電車 (幻冬舎文庫)

阪急電車 (幻冬舎文庫) 著者:有川 浩 出版社:幻冬舎

身近な物語

まいまいさんのレビューより

どこにでもあるようなローカル線の沿線で繰り広げられる人間模様。
いつも何気なく利用している電車であるけれど、実は私の乗っているこの電車でもそんな物語が繰り広げられているのかな、なんて考えてみたり。

普段、電車での過ごし方と言えば、ケータイを見つめてみるか本を読んでみるか音楽を聞いてみるか。端からみるとそう見えるが、頭の中はぐるぐる働いていたりする。

私はたいてい、「ネガティブ電車」に乗っている。これから起こるであろう未来の出来事に今から内心翻弄され、本当にこれでいいのかと自問自答し、電車の中で落ち込む。特に帰りの電車だ。体力的にも一日の終わりで疲れているけれど席は空いておらず座れず、心の中でちょっとため息をつき、今日起きた出来事の自分反省会が開催される。

なんにもしようにもなんにもできない、だから頭の中だけぐるぐるしてしまう、あの狭い空間が結構嫌いだったりした。

この作品の登場人物たちもそれぞれに自分の背景をかかえて同じ電車に乗り込む。赤の他人同士のはずなのに、なんだか彼らは電車の中で見かけた人たちからヒントを見つけていく。他人からしてみればたいしたことのないヒントかもしれないが、彼ら自身にとってはとても大切な人生のヒントである。行きの電車でヒントをもらって、電車が折り返し、帰りの電車で彼らなりにそのヒントを自分の中に取り入れていく。そんなささやかな出来事がお互いの知らない間で同じ空間で起きているとすれば、なんて夢が膨らむだろう。

彼らが人生のヒントを阪急電車で見つけたように、私の電車でもそんな素敵なきっかけが見つからないかしらん?なんて、今日からいつものネガティブ電車にちょっと期待をして、今日も出かけようと思える、そんな作品だった。

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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) 著者:カズオ・イシグロ、土屋政雄 出版社:早川書房

限りなく純粋な魂の記録

xxbookreaderさんのレビューより

筋立てからすると、確かにSFに属するであろうこの本に綴られているのは、一人の女性の魂の記録である。

本書の過半は、一人の男の子と二人の女の子の、奇妙な寄宿学校での生活の日々の出来事である。
そこでは、普通の子供であれば精神生活の大部分を占めるであろう家族が全く登場しない。
保護官と呼ばれる教師、謎のマダム、展示館と言う、多くの伏線をちりばめつつ、子供から少しずつ成長していく3人の姿を、一人の女性の目を通して描いていく。
謎は謎として、何故彼や彼女達は、かくも純粋なのだろうか、と読み進める内に感じざるを得なかった。
恐らくは、一人称で物語を綴る女性自身、そのように感じていたに違いない。
それなのに、最後の最後で、どんでん返しを喰らわせる仕掛けが待っていたとは、驚きである。

美しい魂の光を放つ結晶が、時に集まり、時に離れ、絡まり、回転していく。そんな印象を持った。
全体としての設定が、グロテスクでインモラルそのものであり、登場人物一人ひとりが純粋であることが、余計に痛ましさを増している。

最後に、原題:Never Let Me Go のタイトルのJazzナンバーは、Stacey Kent の歌しか知らない。しかし、その切ない歌声は、この物語とよく似ているように感じた。

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神様のカルテ (小学館文庫)

神様のカルテ (小学館文庫) 著者:夏川 草介 出版社:小学館

電車で読んではいけません

わわさんのレビューより

とにかく読むべし。そしてハンカチを。

町医者の先生を中心に広がる、人との出会いと別れ。

一番印象的なのは、男爵が博士を見送るシーン。季節はずれの桜がアパートに咲き乱れる。男爵がいなくなる博士のために用意した粋な桜。読んでいるときに、咲き乱れるこの桜が私にはっきりと見えた。

シリーズ化希望ですね。
続きが気になる。 

夜も短し恋せよ乙女を読んだ人なら、この先生の話し方の癖が、懐かしく感じるかも。

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のぼうの城 上 (小学館文庫)

のぼうの城 上 (小学館文庫) 著者:和田 竜 出版社:小学館

のぼう様もいいですが、かわいそうな敵役も魅力です!

サトアツさんのレビューより

 何をやらせてもダメ、でも不思議と人望はある、成田長親。農作業が好きで、百姓たちからも「のぼう様(「でくのぼう」の略称に敬称がついて)」と呼ばれ、親しまれています。
 信長亡き後、秀吉がついに関東最大勢力を持つ北条氏に手をのばします。秀吉を敵に回したくない、けれども北条にも多少義理のある、小さなお城・忍城が巻き込まれ、石田三成を総大将とする大軍に攻められます。しかし何故か何もできないはずの「のぼう様」が大活躍し、あれよあれよと問題を解決し、策士・三成の攻撃を躱します。それはまさに痛快の一言です。
 それにしてもかわいそうなのが石田光成です。秀吉の片腕としてめきめき頭角を現してきたエリート中のエリートとして登場しますが、のぼう様にコテンパンにやられます。相手の何倍もの軍勢を率いながら、やることなすこと裏目に出て失敗。その後の関ヶ原で大敗する「武運なき三成」を彷彿させます。才能もあり努力家でもある石田三成が、何もしない・できない、のぼう様に対比して、「優れているのに残念な」敵役として無惨に描かれています。彼こそがこの作品の裏の魅力なのではないでしょうか(笑)


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永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫) 著者:百田 尚樹 出版社:講談社

十死零生の中、男たちは何を思ったのか・・・

ネットワンシステムズさんのレビューより

日本が世界に誇る名機“零戦”こと零式艦上戦闘機、そして誇り高き十死零生の神風特攻隊。自らの命を懸けて闘った男たちは何を思い、何を感じながら散華していったのか。この作品を通し、今一度、我が国が歩んできた途を省みて欲しい。
当時の日本は現神人の支配する神国だったのか、特攻隊員たちは国家と天皇のために命を捧げる狂信的な愛国主義者だったのか、彼らは現代の自爆テロリストと同類だったのか。そんな風には決して言い切れないはずだ、五百ページに亘る元戦友たちの証言を目の前にしては。
読者はこの作品をどう捉えるのか。悲しさ、誇らしさ、戦争の無意味さ、日本海軍への憤り、どれも正しいが、それだけでは正しくないのかもしれない。ただ、まずは素直に感じればいいのだと思う。そしてひとつだけ確実なことは、それが永遠に忘れてはならない事実であるということだろう。
時代は平成になり、零戦や神風特攻隊も少しずつ忘れ去られていく。いつしか、日本が敗戦したことすら語られない時代が来てしまうのかもしれない。しかし戦争は単なる争いではない。そこには人間がいる、心がある。戦争を単なる歴史的事実としてではなく、人間の心交の軌跡として、もっと心で感じて欲しい…そう感じさせる作品だ。

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告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1) 著者:湊 かなえ 出版社:双葉社

語り系小説として

のへさんのレビューより

タイトル通り登場人物が、語っていくことで展開していく小説。恩田陸の「Q&A」今井今朝子の「吉原手引き草」など同様の形で進んでいく小説と比べると、この作品は秀逸。まったく違和感なく物語にはいりこめる。地の文にくどい説明がみられないのがよいのかもしれない。
結末に違和感があるのは、第三章以降が書き下ろしだからだろうか。
第一章のみ突出した出来であり、それ以降の章のとってつけた感は否めない。
最初から6章だての構想で、執筆していたらと思うと少し残念。
ただ、登場人物のセリフから醸し出される緊迫感は他のミステリーを圧倒している。


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陽だまりの彼女 (新潮文庫)

陽だまりの彼女 (新潮文庫) 著者:越谷 オサム 出版社:新潮社

過去を振り返り未来を思う

くぼたさんのレビューより

オビ見て買いました。女子が男子にすすめたい恋愛小説とは何ぞや、と。読み始めたら一気に読破しちゃいました。いつもだけど。
キュンキュンしたり(最近この表現はやっていますね)、ハラハラしたり、どんでん返しがあったり、結果的にハッピーエンドなのかバッドエンドなのか、伏線がたくさんあって読み終わったあともう一度読み直したい気持ちにさせられたり。
色んな要素があっておもしろかったです。
伏線がキレイにまとまっていて、非常に気持ちの良い本でした。

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プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫) 著者:万城目 学 出版社:文藝春秋

大阪国を映像で見たい!

fumimamaさんのレビューより

自分のルールは
原作を読んだ映画は見ない(笑)です。

今まで本を読んで映画を見たら
まず「がっかり」させられることがほとんどだからです。

しかし、この本は
ストーリーや配役にはたぶん
がっかりさせられるでしょう~(^_^;)

しかし、大阪国を見てみたい(笑)

文字だけでは
ちょっと想像ができない箇所がいっぱいあって
どんな感じなんだろう~と。
もう私の少ない脳みそでは大阪国は想像不可能(笑)

ちょっと映像でみたいです!

「え~!こんなのぉ~?!?」って
やっぱりがっかりするかしら?!?

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猫鳴り (双葉文庫)

猫鳴り (双葉文庫) 著者:沼田 まほかる、ヌマタ マホカル 出版社:双葉社

現実的だ

masumiさんのレビューより

リアルと言うか、現実的…。夢とか希望とか、動物ものにありがちなメルヘンチックな要素は無い。途中で読むのが嫌になったけど、不思議とやめられない。最後の章、猫の最後をみとるおじいさんの心境は引き込まれるものがあった。

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ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫) 著者:三上 延、越島 はぐ 出版社:アスキーメディアワークス

たまにはこんなステキなお話も

チルハさんのレビューより

本に関する知識がハンパないぐらい豊富なのですが、このお店にくるお客さんも個性豊かで意外とステキな感じの人達でした。

一番印象に残ってるのは、ある夫婦のお話。
1冊の本によって、夫婦の危機!?と思いきや奥さまの深い一言で
この夫婦の印象が激変するぐらい素敵色になってました。
たまにはこんなステキなお話もいいなと思いました。

あと気になったのが文庫本の紐について。
今はハードカバー本でしかみかけませんが、昔は文庫にも紐がついてたとか。
“えっ!そうなの?”
と、かなり興味を惹かれました。
今でもついてる文庫本があるそうなのですが、覚えてたら今度確認してみようかなと。

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